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皇室典範改正への道と、その内容

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報道
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ちょっと見ないうちに話が進んでいたようだ。

皇室典範改正案が今国会成立の公算 国民・参政が賛成、立民は反対へ

2026年7月9日 12:30

国民民主党は9日、皇族数の確保に向けた皇室典範改正案に賛成する方針を決めた。参政党も賛成する方向で最終調整に入った。改正案は今国会で成立する公算が大きい。立憲民主党は改正案の修正を求めており、反対する方針だ。

日本経済新聞より

さんざん国会をかき回した国民民主党と参政党が、賛成に回ることにしたようだ。これで、概ね皇室典範の改正は成立する見込みとなった。

わかりやすくはない解説

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改正案を確認しよう

前回の記事がこちら。

皇室典範改正はどこへ向かうのか
最近、皇室典範の改正について色々騒いでいるのだけれど、「何だこの程度の議論か」とがっかりすることが多い。ベースにすると分かりやすいのはこんなニュースが分かりやすいだろうか。素朴な疑問。女性が天皇になれないのはなぜ?2026/03/26 06…

随分丁寧に書いたので一読願いたいが、要は「先例・男系・直系」が原則で安定的な皇位継承を実現するための改正になるということだ。

さて、当然ながら、改正案が固まったのであればその内容を確認しなければならない。

皇室典範改正案の全文

2026年6月30日 18:20

皇室典範と関連法改正案の全文は次の通り。

(皇室典範の一部改正)

第1条 皇室典範(昭和22年法律第3号)の一部を次のように改正する。

第9条中「皇族は」の下に「、第38条第1項の規定による場合を除き」を加える。

第10条中「皇族男子」を「皇族」に改め、同条に次のただし書きを加える。

ただし、第14条第1項の者でその夫を失ったものと天皇および皇族以外の男子との婚姻については、この限りでない。

日本経済新聞より

1つ1つ確認していくべきなんだけど、文章量が多くなるので、まとめたものを紹介。

改正法案の主な法律構成(皇室典範等の一部を改正する法律案)政府が2026年6月30日に閣議決定・国会提出した法案の構造は以下の通り(主に皇室典範の改正部分):

  • 第1条:皇室典範(昭和22年法律第3号)の一部改正
    • 第9条(養子禁止)に例外規定を追加(「第38条第1項の規定による場合を除き」)。
    • 第10条(婚姻の許可):皇族男子→皇族に変更 + ただし書き(女性皇族の特定婚姻の場合)。
    • 第12条・第13条:削除(女性皇族の婚姻による離脱規定を整理)。
    • 第14条:女性皇族の離脱事由を詳細に規定(夫の離脱・離婚時など)。
    • 新設:第6章「養子皇族男子」(第38条を中心に詳細規定)
      • 養子の要件:旧皇族男系男子(15歳以上、配偶者・子なし)、皇室会議議決。
      • 養子縁組の特例(民法一部非適用)。
      • 養子は縁組時から皇族となるが、皇位継承資格なし(第2条非適用)。
      • 養子皇族男子の子孫の扱い(実方系統による皇位継承可能性など)。
      • その他の適用除外・読み替え規定(摂政順位、身分離脱時の離縁など)。
  • 第2条以降:皇室経済法、戸籍関連法、住民基本台帳法などの関連改正(女性皇族の夫・子の戸籍・皇族費対応など)。
  • 付則:施行日(公布後3ヶ月など)、経過措置(現行女性皇族の選択的離脱)、30年ごとの見直し規定など。

中身を解説(「何が決まったのか?」まで読み飛ばして問題ないよ)

先ず、皇室典範の改正は9条の規定を変更している。

養子縁組に関わる規定

先ずは9条はこの様に改正される。

第九条 天皇及び皇族は、第38条第1項の規定による場合を除き養子をすることができない。

次に38条を参照するのだが、38条は新設されている。

第38条 親王、親王妃、内親王、王、王妃および女王(皇嗣および皇嗣妃を除く。)は、皇室会議の議を経て、この法律による皇族男子であった者の嫡男系嫡出の子孫である現に皇族でない年齢15年以上の男子であって、配偶者および子がないものに限り、養子とすることができる。
2項 前項の規定により養子をする縁組(次項および第8項において単に「縁組」という。)については、民法(明治29年法律第89号)第798条の規定は、適用しない。
3項 縁組による養子は、当該縁組の時から、皇族となる。
4項 養子皇族男子(前項の規定により皇族となった皇族男子をいう。以下この条において同じ。)については、第2条の規定は、適用しない。
5項 第1項の規定により養子となった者については、これを実方の系統による嫡男系嫡出の者として第6条の規定を適用する。
6項 養子皇族男子に係る第7条の規定および第9項の規定により読み替えて適用する第17条第2項の規定の適用ならびに養子皇族男子の子孫に係る第2条および第6条の規定の適用については、実方の系統によるものとする。
7項 養子皇族男子である王については、第11条第1項の規定は、適用しない。
8項 養子皇族男子が第11条第2項の規定により皇族の身分を離れる場合において、養親(皇族の身分を離れた者を除く。)との縁組が継続しているときは、当該縁組は、将来に向かってその効力を失う。この場合においては、当該養子皇族男子が皇族の身分を離れる時に当該養親との離縁がされたものとみなして、民法その他の法令の規定を適用する。
9項 養子皇族男子に係る第17条の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同条の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

上欄(第17条の規定)中欄(元の字句)下欄(読み替える字句)
第1項 二親王および王親王および王(養子皇族男子を除く。)
第1項 六内親王および女王内親王および女王 → 七 養子皇族男子
第2項同項第6号同項第6号および第7号

なお、第9項は第17条の適用関係を整理する読み替え規定である。引用元では表形式の部分が崩れていたため、正確な内容を確認できるよう原文の形式で掲載する。

要するに、対象となるのは「旧皇族につながる男系男子で、現在は皇族ではない15歳以上の独身男性」である。38条は長いけど、1項が別れば問題ないと思う。

これ、何を言っているかと言うと、旧11宮家からなら養子を迎えることが出来るよという規定なのである。あと、この改正と整合するように15条にも手を加えている。

第十五条 皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合ならびに第38条第3項の規定による場合を除いては、皇族となることがない。

矛盾がないように法改正をしたが、この条文は元々女子以外は皇族となることがない旨の規定であった。その例外規定として、38条の規定による場合は皇族となる場合がある、つまり養子縁組した場合は皇族になれる(ただし11宮家に限る)という規定になっている。

皇族女子に係る規定

10条は、婚姻に関する規定である。

第十条 立后及び皇族の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。ただし、第14条第1項の者でその夫を失ったものと天皇および皇族以外の男子との婚姻については、この限りでない。

立后とは、天皇陛下との成婚によって皇后を立てることになる。天皇陛下と一般女性の婚姻を定めているわけだね。そして、「皇族男子→皇族」と改めたことで、ここで皇族女子の規定を含めることになった。

これは、14条との関係で書かれるようになってしまったので、14条も引用しておこう。

第十四条 皇族以外の女子で親王妃又は王妃となつた者が、その夫を失つたときは、その意思により、皇族の身分を離れることができる。
2項 前項の者が、その夫を失つたときは、同項による場合のほか、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
3項 第1項の者でその夫を失ったものが、天皇および皇族以外の男子と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。
4項 第1項の者は、次の各号のいずれかに該当するときは、皇族の身分を離れる。  
一 その夫が皇族の身分を離れたとき。  
二 離婚したとき。

あと、12条、13条を削除している。この改定によって、皇族女子が婚姻によって皇室を離れずにいられる規定となった。

何が決まったのか?

先例・男系・直系

既に言及はしたのだけれど、色々書いたけど何が決まったのか?というと、これは時事通信を引用しておこう。

皇室典範改正案、成立の公算 10日衆院通過―中道保留、国参賛成、みらい自主投票

2026年07月09日19時58分配信

皇族数の確保策を盛り込んだ皇室典範改正案は10日、与党などの賛成多数で衆院本会議で可決され、衆院を通過する見通しだ。

~~略~~

改正案は(1)旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える(2)女性皇族が結婚後も皇室に残る―の2本柱。養子に男の子が生まれた場合、皇位継承資格を有するとした。

時事通信より

さて、改正案で何が決まったかと言えば、ここにある通り2点。

  • 旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える
  • 女性皇族が結婚後も皇室に残る

これだけなら、寧ろ上の引用は何だったのか?という話になるんだけど、流石にコレだけでは足りないんだよね、わかりやすさ優先だから。

旧宮家の男系男子を養子として

これについて、おかしな誤解があるんだけど、何処まで含むのか?を勘違いして、麻生太郎氏の子供が皇室入りするとかトンデモねーデマを流している人もいるので困ったものである。

対象は11宮家あるのだが、実際に対象になるのはもっと少ない。順序に意味はないので悪しからず。

  1. 伏見宮(ふしみのみや):博明王に男子がおらず、断絶見込み
  2. 山階宮(やましなのみや):武彦王に男子がおらず、すでに断絶
  3. 賀陽宮(かやのみや):男系の子孫としては、正憲に2男あり。
  4. 久邇宮(くにのみや):男系の子孫としては、征彦の子世代に男子6人あり。
  5. 梨本宮(なしもとのみや):守正王に男子がおらず、すでに断絶。
  6. 朝香宮(あさかのみや):誠彦の孫世代に男子がおらず、断絶見込み。
  7. 東久邇宮(ひがしくにのみや):男系の子孫としては、征彦の子世代に男子6人あり。
  8. 北白川宮(きたしらかわのみや):道久王に男子がおらず、すでに断絶。
  9. 竹田宮(たけだのみや):男系の子孫としては、恒正の孫世代に男子3人あり。
  10. 閑院宮(かんいんのみや):春仁王に男子がおらず、すでに断絶。
  11. 東伏見宮(ひがしふしみのみや):依仁親王に男子がおらず、すでに断絶。

ただし、実際に養子となる意思を示す方がどの程度いるのかは、現時点では明らかではない。できるだけその意志を示してもらえるとありがたいと個人的には思っているが。

なお、養子縁組した本人には皇位継承権は与えられない。(38条7項)

女性皇族が結婚後も皇室に残る?

「女性皇族が結婚後も皇室に残る」という説明もやや正確性に欠けるのが困ったものである。

中道は「女性天皇の是非等」を今後の検討事項として付帯決議に明記することなどを求めている。

時事通信より

中革連はこんなフザケたことを言っているが、そういう話は今回はしていないのだ。何故なら、それは安定的な皇位継承を実現とは全く別の問題だからだ。

こちらはもっと酷いが。

「愛子さまを皇太子に」皇室典範の改正求め、7万9210人分の署名を提出 週刊文春元編集長が呼びかけ:東京新聞デジタル
天皇、皇后両陛下の長女愛子さまを皇太子にするよう皇室典範の改正を求める運動が署名サイト「change.org(チェンジ・ドット・オーグ…

そもそも皇位継承権に関する話を、署名などで解決しようという試みが非常にゲスである。(理由については追記した)

さて、女性皇族が結婚後に皇室に残る規定なのだけれど、これは正確とはいえない。何故なら、削除された13条の規定には「皇族の身分を離れる」と定められていた。とすると、女性皇族は身分はそのままだと読めるが、皇室に残るのかどうかというのはちょっと疑問を差し挟む余地がある。

ちょっとややこしいが、皇籍のまま民間人に嫁ぐ形になるため、戸籍には名前のみ記載される形になる。

不可解極まりないが、対象者も少ないので問題は起きにくいだろう。さらに、そこで今回はこんな経過措置がとられている。

(皇室典範の一部改正に伴う経過措置)

第2条 この法律の施行の際における内親王または女王(以下「施行時内親王等」という。)が天皇および皇族以外の男子と婚姻する場合において、当該施行時内親王等が当該婚姻と同時に皇族の身分を離れようとするときは、皇室典範第11条第1項の規定にかかわらず、皇室会議の議によることなく、その意思により、皇族の身分を離れることができる。この場合において、当該婚姻については、第1条の規定による改正後の皇室典範(以下「新典範」という。)第10条本文の規定は、適用しない。

10条の適用除外、つまり、皇籍離脱の余地があるという意味だ。

ちょっとテクニカルな規定だが、こうした経過措置が設けられないと、皇籍を離脱するつもりだった本人の意思が無視されることになってしまう。

まとめ

マニアックな内容だったので、読み飛ばし推奨である。重要な点は後半に書いた内容で、基本的には時事通信に示された2つ、

  • 旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える
  • 女性皇族が結婚後も皇室に残る

コレでいいと思う。正確でないと批判したけれども、ね。

追記

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久々の追記なのだけれど、東京新聞の記事があまりにもクズすぎてやはり説明しておかねばならないと思った次第。もちろん、会員限定記事なので、見えている部分しか評価しない部分は、ご了解願いたい。

何が問題なのか?という点なのだが、「天皇、皇后両陛下の長女愛子さまを皇太子にするよう皇室典範の改正を求める運動が署名サイト「change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で展開され」とあるのだけれど、この署名がそもそも民意とすり替えられているのが卑劣である。

ネットの署名で何かを変えようという動きなのだけれど、別にそれをやるなとは言わない。

しかし、ネット署名の数をもって国民全体の意思であるかのように扱い、それを制度変更の根拠として提示することには大きな問題がある。これは民意と個別の運動を意図的に混同するものではないだろうか。

更に、合わせて読みたいとして紹介されている、記事がまた酷い。

皇室典範改正案、「養子」の子に皇位継承も 受け入れ先は4宮家…麻生太郎氏の妹、寛仁親王妃家も候補に

2026年7月1日 06時00分

政府は30日、皇族数の確保に向けた皇室典範などの改正案を閣議決定した。「女性皇族が婚姻後も皇族身分保持」することと「旧11宮家の男系男子の養子縁組」を可能にすることの2本柱で、「男系男子による皇位継承」を維持する方針を鮮明にした。

東京新聞より

タイトルに「寛仁親王妃家も候補に」とあるのだが、上の宮家の話で説明したように、寬仁親王家は対象ではない。

何故なら、寬仁親王家は親王の薨去に伴い廃止されている(2013年)からだ。その結果、信子親王妃(麻生太郎氏の妹)は三笠宮家に合流する結果となっている。

つまり、記事は二重に間違っているのだ。三笠宮家は既に宮家であって、候補にはならないからだ。

こんなクソみたいな情報を垂れ流して「新聞です」とは恥ずかしくないのかな。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    マスコミやら野党やらは、意図的なミスリードで話を混乱させ、思うとおりに事を動かしたいようですよね(この件に限りませんが)。
    過去、女性天皇は存在するが、女系天皇は存在しないし、これからも存在してはいけない。
    多分、必要なのはたったこれだけの事なのだと思ってます。

    今回の改正で、そこのところが少し明確になった、と読み取れますので、まあ、良かったかなと。
    上記を明記するとフェミがうるさそうですから……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      わざと読みにくくした感じも受ける皇室典範ですが、元の姿に近づいたという意味では良かったかもしれません。
      民法とのバランスが難しそうなんですけどね。

  2. 砂漠の男 より:

    改正法案が通ってしまえば、もはや愛子天皇待望論も、女系天皇論も無い。
    不完全ではあるものの、「男系男子による皇統存続」の法的枠組みは守られます。
    左翼滅亡後の時代に、ちゃんと典範全編を改定すればいいでしょう。

    • 木霊 木霊 より:

      安心とまでは言えませんが、比較的マシな内容でした。
      保守派と呼ばれる方々の勢力が強かったのでしょうね。
      実際には民法などとの調整まで含めて色々と手直しすべきところはありそうですが。