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スペインのセウタ、約5万人の移民が押し寄せる騒ぎに

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北欧ニュース
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移民押しつけって、古典的だけど戦争の常道だよね。

UPDATE セウタへの移民流入、大半がモロッコへ帰還 死者57人=スペイン

2026年7月31日午後 8:46

スペインは31日、北アフリカにある同国の飛び地セウタに殺到した大規模な移民流入について、今週、陸路・海路で越境した約5万人のうち大半は既にモロッ‌コへ自主的に帰還していると明らかにした。

ロイターより

流石に、スペインとモロッコとの間で戦争が勃発するような展開にはならなかったけれども、5万人もの移民が一か所に押し寄せたのである。一歩間違えれば、そうなってもおかしくない事態であった。

移民問題は様々な事情があって発生するのだが、今回はどんな話でこのような事態を迎えたのだろうか?

移民問題のインパクト

スペインのセウタとメリリャ

先ずは、「スペインのセウタ」に関して、軽く説明をしておきたい。

スペインとモロッコはジブラルタル海峡で区切られた国家なのだが、何故かモロッコ側にスペインの飛び地が存在する。それが「セウタ」である。

「メリリャ」「セウタ」は、アフリカ大陸北岸に位置するスペインの飛び地であり自治都市として存在している。

15〜16世紀頃からスペインが占領・保有し続け、モロッコ独立後もスペインの自治都市として残ったという経緯がある特殊な位置づけの都市で、モロッコは両都市を返還してくれと求めているが、スペイン側は拒否し続けている。

移民問題に至った裁判

これに関して、原因となった判決があったと多くのメディアが報じている。その判決はこちら。

最高裁判所は、セウタとメリリャに泳いで入国しようとする移民の「強制送還」は法律で認められていないことを確認した

2026年7月8日(水)

行政裁判所第5部は、移民法第10追加規定は、海上で阻止された移民が泳いでセウタ市とメリリャ市に入国しようとする場合、「ホットリターン」とも呼ばれる国境拒否を適用することを認めていないことを確認した。

~~略~~

裁判所は、前述の法律の第10追加条項を、この件に関して憲法裁判所が出した2つの判決を考慮して解釈する。この条項は、セウタまたはメリリャの領土境界で不法に国境を越えようとした外国人が発見された場合、スペインへの不法入国を防ぐために引き返すことができると定めている。

PODER JUDICIAL ESPANAより

分かりにくい判決だが、「即時送還」を適用するのは違法であるという内容になっている。適切な移民受け入れをしなければダメですよと言う原則を貫いた程度の話ではあるのだが、これが、「泳いで入国すれば追い返されない」という誤解を生じたようなのだ。

正確なところは不明だが、モロッコ側の説明では、組織的な風説の流布により、「スペインに(スペインのセウタに)泳いで渡れば、追い返されない。だから、海から渡るのだ」というムーブメントが作られたのだとか。

ただでさえ、セウタ・メリリャをめぐる混乱は、2021年5月に約6,000人規模の越境が発生したこともあって、地理的にこうした混乱の起こりやすい地域だ。

今回は、スペイン軍が動員される事態となり、何とか収まったようだが、5万人も詰めかける事態になって、なかなかに深刻だった模様。

モロッコ側の主張

結構な騒ぎになったのは、渡る側のモロッコ側も同じではある。

31日にセウタに入ったサンチェス首相は、今回の移民急増は犯罪組織がスペイン最高裁の最近の判決を意図的に誤って解釈したことが原因だと述べた。

「モロッコ当局と協議した結果、人身売買マフィアが最高裁判所の判決を自分たちの都合の良いように解釈し、それが瞬く間に広まったことが、明らかになった」

首相はさらに、スペイン政府はモロッコとの国境警備の強化を検討する方針で、モロッコ当局は不法入国者の送還に協力していると付け加えた。

BBCより

人身売買マフィアが暗躍した結果、移民が大量発生したというのがモロッコ側の見解である。しかし、移民として押し掛けた5万人の大半がモロッコ国民であったことを考えると、それはモロッコ政府の責任であるから、仮にそのような背景があったにせよ、「我々は被害者である」という主張は通らないと思う。

一部は、サブサハラ地域からの不法移民も含まれていたようだが、多くは雇用を失ったモロッコの若者だったようだ。

それというのも、モロッコは急激な人口増加状況にあって、若者が職に就けないという構造になっている。労働人口が増えているのに職を用意出来ないという、モロッコ政府の失敗が、今回の騒ぎの引き金を引いたと言える。

近年、モロッコでは干魃が続いており、農業には厳しい状況に追い込まれつつある。

つまり、人身売買マフィアが暗躍があったことが本当だったにせよ、モロッコ政府の責任がなくなるわけではない。況してや「我々も迷惑を被ったのだ」という被害者ポジションは、ちょっと馴染まない。

反政府デモ

実際、今の政府には任せられないとして、ここ数年、反政府デモが頻発しているのがモロッコの実態だ。

モロッコで若者の反政府デモ、治安部隊と衝突 教育向上など要求

2025年10月1日午前 9:09

モロッコ各地で30日、教育と医療の向上を求めて4日続いている若者主導の抗議活動が治安部隊との激しい衝突に発展した。 

抗議活動は「GenZ212」と名乗るグループが、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」、インスタグラムなどのプラットフォームを利用してオンラインで組織した。 

地元報道や目撃証言によると、南部や東部の都市で、集会を解散させようとした治安部隊に若者数百人が投石したり、デモ参加者が当局の車を横転させるなどした。投稿された動画や目撃証言では、覆面をした抗議者が郵便局への乱入を試みたり、放水砲を使う警察と衝突したりしている。車両放火やスーパーへの乱入もあったという。 

ロイターより

これに伴って、首相が辞任する騒ぎに発展した。

とはいえ、現在のモロッコは実質、王政によって維持されている。したがって、政府の首が挿げ替えられたくらいでは、何も変わらないというのが実情のようだね。

その不満が今回の移民騒ぎに繋がっていったということのようだ。

イタリアが激怒

とまあ、モロッコとスペインとの間の騒ぎだったのだが、この騒ぎに危機感を抱いたのがイタリア。

イタリア、スペインとのシェンゲン協定を一時停止 入国検査復活

2026年8月1日 10:02

北アフリカのモロッコに隣接するスペイン領の飛び地セウタに数万人の不法移民が押し寄せたことを受け、イタリアは7月31日、スペインとのシェンゲン協定を1か月停止し、同国からの渡航者を対象に入国審査を復活させると発表した。

極右のジョルジャ・メローニ首相は、スペインとのシェンゲン協定一時停止を「国の安全を護持し、自国への波及を防ぐ例外措置」と呼んだ。

AFPより

上述したように、モロッコの行ったことはスペインとの間の問題なのではあるが、そもそもスペインが移民政策に関してかなり緩い態度をとっていて、イタリアとしてはそれに関して良く思っていなかった。

そこへ来て、このセウタの騒ぎである。

イタリア内務省がAFPに明かしたところによると、イタリアは港や空港で入国審査を再開したが、その対象はスペインから入国する非欧州連合(EU)市民だという。つまり、スペイン国民や他のEU加盟国の国民のイタリアへの渡航には影響がない。

また同省の報道官は、フランスとの協議を経て、両国間で既に実施されている陸上での国境管理も強化すると述べた。

AFP「イタリア、スペインとのシェンゲン協定を~」より

流石にイタリアとしては看過できないということのようだ。ただ、この話はどうやらイタリアだけへの波及に留まらないようだ。

米中間選挙情勢、上下両院で接戦 トランプ氏も民主も支持低迷 – 日本経済新聞
【ワシントン=飛田臨太郎】トランプ米大統領への審判となる11月3日の中間選挙まで3日で3カ月になる。最新の情勢分析では、与党の共和党、野党の民主党ともに勝敗ラインである連邦議会上下両院での多数派の確保を確実にできておらず接戦の様相だ。日本経…

実は、アメリカの中間選挙にも影響を与えているらしい。

トランプ氏がこの移民の話を取り上げて、国境の壁の必要性を訴えたら、これがアメリカ国民にかなり刺さったようなのだ。ニューヨークの事案もあるだけに、身近な話題なのだろうね。

ちょっと前までは、アメリカの中間選挙はトランプ氏率いる共和党がかなり劣勢であると伝えられていたんだけどね。

まとめ

動画を見るとゾンビ映画さながらなのだが、なかなかインパクトのある映像であった。そして、政府の失策がモロッコの若者を苦しめていて、死者まで出てしまったことは看過できない話なのではあるが……。

アメリカも「他人事ではない」と宣伝しているし、日本もまた他人事ではないのである。台湾有事で何が起きるのか?あるいは朝鮮半島有事で何が起きるのか?は、真面目に考える必要があるのだ。

実際、歴史的背景のある特殊な事案であるとはいえ、1カ所に5万人も押し寄せたら混乱必至で死者まで出てしまう騒ぎになりかねない。そうなる前に手を打つしかないんだけどね。

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