僕自身も知らなかったのだが、ネットで見かけてちょっとビックリしたのが、改正種苗法の成立のニュースである。
[社説]農業知財の海外流出を防げ
2026年7月22日 19:00
ブランド力のある農作物の種や苗木が海外に流出するのを防がなければならない。いまの国会で成立した改正種苗法は日本が持つ農業の知的財産を守るうえで前進だが、水際対策の強化などやるべきことはまだ多い。
日本経済新聞より
はー。
2020年の改正の時には、もの凄い大騒ぎしていた人々がいたのに。今回はあっさりか。
改正種苗法の騒ぎ
2020年の改正の裏にあった騒ぎ
2020年度の種苗法改正の時に騒いで馬鹿を見たのが、柴咲コウ氏だ。
柴咲コウさんの懸念で注目 種苗法改正案が衆院委で可決
2020年11月17日 19時18分
ブランド農作物の海外流出を防ぐことを目的とした種苗法改正案が17日、衆院農林水産委員会で立憲民主、共産両党をのぞく与野党の賛成多数で可決された。政府提出の法案だが、俳優の柴咲コウさんがツイッターで懸念を表明したことでネットを中心に話題になり、先の通常国会では審議見送りとなっていた。
朝日新聞より
某界隈のデマに乗せられてしまい、すっかり有名になった。当時は彼女の演技力など評価していただけに、非常に残念に思った記憶がある。
しかし、これは本人の責任とは言い難い部分もあって、本当に酷いデマを振りまいた人は他にもいる。
農業専門誌『現代農業』編集部の山下快氏(農山漁村文化協会)は「ほとんどの農家はこの法改正については反対しています」としながら、
「農家が反対しているのは、『農家による自家増殖』が自由にできなくなるというポイントでしょう。それは、農家にとって、作物の種をとるという行為自体が“連綿と受け継がれてきた技術”であり、営みのひとつだからです。ゆえに、“農家の種採りを否定されている”と感じるのではないでしょうか」
と続ける。しかし、法改正されることで実際に悪影響が出る農家もあるという。
週刊女性PRIMEより
現代農業編集部の山下氏は一体何をやっているのか……。
だが、もっと深刻な問題を抱えていた人材がいる。それが山田正彦なる活動家である。
地域の種子を守るたたかいを―改定種苗法の成立を受けて 元農林水産大臣・山田正彦
2020年12月20日
種苗法改定案が12月2日の参議院本会議で可決され成立した。日本の農業の根幹を揺るがす、世界に例のない「自家増殖一律禁止」というとんでもない法律が、地方公聴会などを開いて農家の声を聴くことなく、わずか15時間足らずの審議で決まってしまった。断じて許せないことだ。しかし、諦めるところではない。闘いはいよいよこれからだ。種子法の廃止後、地方で種子条例を制定していったように、私たちには闘う術がある。今後の闘いについて提案したい。
長周新聞より
許せないのは、オマエのデマだよ……。
赤松口蹄疫事件の立役者
元農林水産大臣という肩書きを持つ山田正彦だが、個人的にもこの人物は非常に敵視している。
その理由は赤松口蹄疫事件(2010年3月~6月)に関与していたからだ。その当時、無能と批判された赤松広隆は、この口蹄疫の拡散を防げずに責任をとって辞任するという憂き目にあったが、僕は寧ろこの時の副大臣を務めていた山田正彦にこそ、責任をとるべき立場にあったと認識している。
後に、農林水産大臣にまんまと就任することになるが、この人物、現地対策チームを率いていたのである。
山田農相、口蹄疫で民間の種牛殺処分「例外認めない」
2010年7月10日 0:26
山田正彦農相は9日、宮崎県で広がる家畜伝染病の口蹄疫に関連し、同県の畜産農家が殺処分を拒否している種牛6頭について「ウイルスを封じ込めなければいけない大事な時期だ。例外というわけには絶対にいかない」と述べた。都内で記者団の質問に答えた。
種牛を巡っては、東国原英夫知事が農家から無償譲渡を受けて県有化する特例を国に求める意向を示している。農相は「口蹄疫の国家的危機管理に対する危機意識があまりにもなさ過ぎる」と厳しく批判。防疫措置に対しても「県の甘さがこれだけの感染と被害を生んだ」と指摘した。
日本経済新聞より
そしてまんまと農林水産大臣の座に納まった山田正彦は、種牛6頭の殺処分に踏み切る。
ハッキリ言うが、当時、現場の混乱を来した背景には、コイツの責任はかなり大きい。政府側の立場で現場指揮をしていたのだから、当然の責任である。現場で足を引っ張り、満足な指揮が出来ず、東国原氏の主張を頭から否定。その上で、責任は全部県にあったと責任を押しつけたのだから、本当に腹が立つ。
その事件の後、支那との農業交流事業を積極的に行い、後に国会でも不透明な資金の流れを追求されることになるのだが、僕自身は資金の流れよりもこの時期の前後で大量に流出した、日本の種や品種、農業技術の方を問題視している。
モンサントを敵視
それと関係があるかを立証することは出来ないが、彼は2020年の改正種苗法成立にも強硬に反対する立場を採っていた。
改定種苗法のもとでも、育種知見が都道府県にあるあいだは、許諾料が高騰したり、自家増殖を禁止される可能性は低いと思われるが、農業競争力強化支援法8条4項で、モンサントなど民間種子企業に都道府県の育種知見の提供を求められた場合、法律がそうなっている限り現状では都道府県は断ることができない。育種知見が民間企業に渡れば、安い許諾料で自家増殖ができるとは考えられず、自家増殖は禁止になる可能性の方が高いと考えた方がよい。
長周新聞「地域の種子を守るたたかいを~」より
ここの下りが完全に間違っていたことは後に明らかになるのだが、今なお山田正彦はこの主張について誤りを認めてはいない。
それどころか、農業関係のデマ本を継続的に出版している始末だ。おっと、書籍の内容に関しては踏み込む気はないが、科学的根拠のない意見が散見されるものなので、図書館などで見かけたら各自検証いただければ理解いただけると思う。
今回は騒ぎにならなかった
というわけで、今回の改正法の内容もかなり問題になるとは思っていたのだが……。あっさり通過。
改正法は開発された新品種について、申請直後から輸出の差し止めを請求できるようにする。審査中の空白期間を狙った海外流出を食い止める効果が期待できる。
日本経済新聞「農業知財の海外流出を防げ~」より
素案の段階では、また結構な騒ぎになると思っていたんだけどな。
今回の2026年改正は、「海外への不正流出を徹底的に防ぐ」という実務的な防衛策に特化している。実は、前回よりも厳しい内容なのだ。具体的には以下の通りだ。
- 「輸出目的の保管」の取り締まり:これまでは実際に輸出される(港や空港を渡る)段階でなければ差し止めが困難だったが、国内の倉庫などで「輸出目的で苗を保管している」と認められる段階で違法とみなすことができるようになった。
- 出願中の保護:登録が完了する前の「審査期間中」であっても無断の海外持ち出しを差し止められるようになり、法の網の目がより細かくなった。
- 保護期間の10年延長:果樹の保護期間が40年に延びたことで、開発者が権利を主張できる期間が大幅に長期化した。
前回、自由に自家増殖(タネ採り)できないとして、大騒ぎしていたのは一体何だったのかと思えるほど、ひっそり通過したのだ。
もしかして誤解が残っているかもしれないので一応整理しておくが、2020年改正の時に騒ぎになった「農家の自家増殖が一律禁止される」「日本の伝統野菜のタネがすべて奪われる」といった主張は全くの誤解である。
実際には、昭和53年の種苗法成立から、登録品種に関しては自家増殖も禁止されている。一応、例外として、購入した苗から農家が自分の畑で増やす分(自家増殖)は、開発者の許可なく自由にやっていいという特例があったのだが、この特例こそが誤解されているのだ。
登録品種を自由に作って販売して良いのだ、ということではなく、研究のために自分のところで栽培する(販売してはいけない)分には許されるという整理であるのと、在来品種に関しては今も昔も制限なく作ることが可能であるという事実がある。
詳しくやると色々仕組みを説明する必要があるので、割愛させていただくが、全くの誤解に基づくバカ騒ぎだったと言って良い。
今回の法改正では、より協力に海外への流出を防ぐようになったのだが、注目はされなかった。それはそれで良かったのだが、違和感は拭えないね。
まとめ
拍子抜けするほど素直に通った改正種苗法法案だが、今回は皇室典範改正やら副首都構想やら、騒ぐネタが他に多かったことも、すんなり通過した理由だったかもしれない。
過去の農業知財の海外流出事例を鑑みるに、今回の法改正はかなり重要な点が多かった。今後も、色々な方面での規制は必要だろうから、是非とも戦略的に取り組んでいただきたい。農業は、積極的に戦略的に守っていくべき分野なのだ。



コメント
よう書いて下さいました。
山田の悪行について追求してくれたのも嬉しい!
正直、私のマスオさんする親族農園ではいい迷惑想うてた。口蹄疫の件ては読んていて腹がたつ。
当方では特殊な環境を利用して糖度の高い野菜を、特別な食品メーカーと
老舗の料亭などに出荷してますが。
手入れが大変なので、製品から増やそうとした外国は全て失敗してます🤣
ただ、やはり種を簡単に奪われて海外で登録されたりとか、とんでもない迷惑は話で、ふざけんな!想うてました。この手の話はワクチンと同じで、
流言飛語する輩が多過ぎる!
政府ももう少し、変な噂をネットで流す奴らを取り締まった方が良い!
うちの農園ね、技能実習生でなく、
きちんと正規労働者として、年契約で
東南アジアの農村出身者を雇うてる。
日本人と格差つけてませんよ。
そういう事ができるのは、自社ブランドの作物を持っていて、それを流通業者任せにしてないからです。
その力の源泉の一つは、独自に開発してきた作物なんすね!
外国人やとうのは、彼ら農村出身者に比べてロハス好きの若い奴は使い物にならないから!
ただ難もあって、細かい手法を覚えて、そういう何期も務めた外国人労働者に持ち逃げされたら?
これは一つの課題で、うちとしては
廃業する農地を借りたり買い取り、
暖簾分けする方法を試してます。
これはある意味では移民促進になってゆくのですが。
個人的な悩みとしては、これが成功すると、農村で非ヤマト民族の日本人を増やし、未来に禍根を残すのではないかという悩みなのですが。