ちょっと驚きのニュースを見かけたので、紹介しておきたい。
永住外国人の生活保護受給率、日本全体と同水準 入管庁調査 ガイドライン改定へ
2026/8/4 12:13
出入国在留管理庁が国内の一部の永住外国人を対象に行った調査で、約1.96%が生活保護を受給していたことが4日、明らかになった。令和6年度の国内全体の受給率(1.62%)と同水準で、永住許可について「独立の生計」などを要件とする現行の審査が十分に機能していない可能性がある。入管庁は同日、収入などの要件を厳格化したガイドラインの改定案を公表した。
産経新聞より
永住許可の審査がザルだったってことですかねぇ。というか、日本の外国人労働力受け入れ姿勢を根幹から見直す必要のある話に繋がっている。
量産される生活保護受給者
外国人永住許可の要件
ちょっと分かりにくい部分を先に整理しておきたいと思う。
永住許可とは、外国人が外国籍のまま日本に在留期間の制限なく住み続けられる在留資格「永住者」を得るための、法務大臣による許可のこと。
許可されるためのガイドラインも設定されているが、これが諸外国に比べてもかなり緩い。
法律上の要件
(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
※ 公的義務の履行について、申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます。
ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ 現に有している在留資格について、法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること。
オ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者、補完的保護対象者の認定を受けている者又は第三国定住難民の場合には、(2)に適合することを要しない。
入出国在留管理庁のサイトより
こんな感じになっている。
要件2の厳格化
このうち、今回問題視されたのは、2番目の要件で「独立の生計を営める資産か技能を持つ」という部分。
実は、現状では、「直近5年間、連続してすべて年収300万円以上であったこと」の証明が必要にとされていた。が、この書類を偽造する組織がいたことや、そもそも年収300万円程度では1人で自活するにはなんとか成立するが、永住権を取得すると海外から帯同する家族を呼び寄せることが可能だった。
これが、実態に合っていないという話になったのである。
今回の改定案は、②の考慮要素となる収入について、日本人世帯の平均年収を上回る水準に引き上げ。さらに、申請者の年金受給の見込み額が、この年収水準で厚生年金に30年加入していた場合に受給できる額に達しているかも確認する。
産経新聞「永住外国人の生活保護受給率~」より
そこで、日本人世帯の平均年収を上回る水準(約575万円以上)に引き上げられ、かつ、継続的に受給できることが求められるようになった。
また、実は、海外のブローカー組織が、実態のないペーパーカンパニーを仕立てて、日本に永住権を希望する外国人に対して、「年収300万〜400万円の給与を支払っている」という虚偽の確定申告や源泉徴収票を組織的に偽造して入管に提出する手口を使うケースが確認されていて、このことも問題になった。
そこで、実態を調べるために、納税などの実績まで照合するようになったという。……寧ろ今までやっていなかったのかと。
生活保護受給者が増える
で、こういった甘い部分を放置した結果何が起こったか?というと、生活保護を受給する外国人が増えたのである。
調査は、7年末の永住者(約94万7000人)の約7%を対象に実施。入管庁は抽出調査のため単純比較はできないとしつつ、「審査を経ているにも関わらず、国内全体と同水準の生活保護受給者がいることは問題だ」との認識を示した。
産経新聞「永住外国人の生活保護受給率~」より
実際には、日本全体の生活保護受給者の割合と、永住許可を得た外国人(家族を含む)の生活保護受給割合が同じになってしまった。
本来ならば、十分な生計を立てるだけの給与を得ているということを調査したにもかかわらず、である。「日本人と同じレベルなら問題ないのではないか」という意見を言う人もいるかもしれないが、それは違う。
現時点で同じということが問題なのだ。
建前としては、外国人には生活保護受給の資格がない。しかし、厚生労働省による昭和29年(1954年)5月8日社発第382号通知により、当分の間、生活に困窮する外国人には生活保護の取扱いに準じて保護を行うことが決められ、それに準じた運用が続けられている。
そしてこの話は、こちらの話と根本は同じだ。

甘い査定をすることは、日本人にも永住許可を求める外国人にも救いにならない。スペインのセウタの事例は、最高裁判所の判決で「リスクをおかして海を渡って来たのに、追い返すのは可哀想」という理屈で強制送還を認めないという判決を出したら、6万人も押し寄せる事態を招いたという話である。
ロジックはほぼ同じ。日本に押し寄せたのは、生活保護受給者だが。
しかし、これは将来的には禍根を残す。何故なら、永住許可を得た外国人も高齢化していくのである。そうなると年金制度の不備から、彼らに十分な年金が支払われず、結果的に生活保護受給者は増える構図になるのだ。
外国人労働人材の闇
これと同じ構図なのが、外国人労働者の受け入れの話である。
6月初めにこんなニュースが流れた。
【外食産業に激震】外国人労働者の受け入れ停止 雇用枠5万人の上限に迫る―人手不足が深刻化する現場では混乱も 日本人労働力だけでは限界…外食以外の分野でも上限迫り懸念も<北海道>
2026年6月3日
飲食店などの外食産業で働く外国人の受け入れを政府が一時停止し、現場に混乱が広がっている。
人手不足で人材の確保が難しい中、打開策はあるのだろうか。
FNNプライムオンラインより
外国人労働者受け入れ枠が枯渇するから、現場が混乱する!人手不足ガー!というニュースだ。
実際に、人手が不足しているのは事実なのだが、外国人労働者を受け入れなければ経済が回っていかないというのは、極めて不健康な経済と言わざるを得ない。
今の消費税減税の話と似ていて、「税収が減ったらどうするんだ」「財源はどうするんだ」と騒いでいるが、減ったら減ったように歳出を調整するしかないのに、歳入が減るかもしれない(実際には税収が増えているのでこの議論も怪しい)ことを前提に騒いでいるのである。
人手不足だから外国人労働者を!というのも同じ構図で、「完全に足りてないからもっと増やせ」と言いつつ、更に外国人労働力が入ってくる前提で需要を計画する話である。
しかし、外国人を受け容れれば、労働者として受け入れてもその後のことは考えなければならない。永住許可の話もその延長線上にある話なのだ。
まとめ
もはや、「日本は移民は受け入れない」などと寝言を言っていないで、既に入国している外国人の労働者の実態を認めて、そのように制度設計をし直していくしかない。
そして、制度が修正されるまでは外国人の受け入れを一旦停止したらどうだろうか。放置すればするだけ大変なことになる。特に、教育の現場は悲惨なんだけど、政治家はそのことをキッチリ把握しているのだろうか。



コメント