イラン情勢もだいぶ変化しそうな気配になってますな。ただ、良い方向に転がるとは思えない。
ネタニヤフ氏の政敵ら、首相抜きの政権樹立狙う 米議会での民主勝利受け
2026年11月4日午後 11:55
イスラエルのネタニヤフ首相の政敵らは、米民主党が議会を制したことは、同氏が米国による何世代にもわたるイスラエルに対する超党派的な支持を台無しにした証拠だとし、同氏抜きでの政権を樹立する機会をうかがっている。
ロイターより
以前から「ネタニヤフ氏は支持率のために戦争を開始した」という評価があったが、結果的には戦争が長引き、中東の混乱を助長した側面もあった。
その結果を、ネタニヤフ氏自身が支払うことになったというのが、イスラエル総選挙の結果だろう。
第5次中東戦争の行方
イスラエルの動向
先日行われたイスラエルの総選挙の開票結果だが、ネタニヤフ氏は支持を失いつつあって、過半数を確保できなかった。
イスラエル総選挙、出口調査では明確な勝者なし 与野党とも過半数達しない見通し
2026年10月28日
イスラエルの総選挙(定数120、比例代表制)が27日、投開票された。複数の地元テレビの出口調査では、与野党どちらも過半数を確保できない状態となっている。今回の総選挙は、2023年10月7日にパレスチナの武装勢力ハマスが主導してイスラエルを襲撃し、それを受けてイスラエルがパレスチナ・ガザ地区の攻撃を開始して以降、初めてだった。
BBCより
野党側が過半数を獲得したわけではないので、直ちにネタニヤフ政権が倒れるという話ではない。ただ、政権運営が難しくなったのは間違いなかろう。
そもそも、国家の安全保障や生存に関わる対外的な軍事作戦については、イスラエル国内で与野党を超えた強いコンセンサスが存在する。
したがって、選挙結果を受けて直ちに戦争終結へ動き出すということではなさそうだ。
とはいえ、ネタニヤフ氏がこれまでのように自由に軍事作戦を進められる状況ではなくなりつつある。少なくとも、政治的な制約が強まったと見るべきだろう。
アメリカの資金援助は打ち切りか
心配なのはイスラエルの資金の方の問題だろう。
トランプ米大統領、イスラエル支援打ち切りを表明 「もう必要ない」
2026.11.04 Wed posted at 09:40 JST
米国のドナルド・トランプ大統領は中間選挙投票日の3日、イスラエルに対する年間40億ドル(約6300億円)の支援を年内で打ち切ると表明した。理由については「彼らが必要としていない」とした。
CNNより
トランプ氏の発言について信用することは難しい一方で、イスラエル支援の打ち切りは、おそらくそうせざるを得ない。
アメリカ国内の厭戦感の広がりによって、トランプ政権自体もダメージを負ったからだ。
更に、共和党内部でも軋轢が生まれているようで。
共和党大敗にバンス副大統領「敗北の理由は戦争だ」…イラン攻撃決断のトランプ氏との対立招く可能性も
2026/11/05 06:13
米国のバンス副大統領は4日、中間選挙での与党・共和党の大敗を受け、X(旧ツイッター)に「敗北の理由は戦争だ」と投稿した。「誰もが私たちがなぜ負けたか知っている。これからどう進むべきかを率直に話し合うなら、そこから始めなければならない」とも記した。対イラン攻撃に踏み切った決断に問題があったとの認識を示したもので、トランプ大統領との対立を招く可能性がある。
讀賣新聞より
副大統領のバンス氏も批判を展開しているようだが、この「敗北の理由」に関しては同意するところである。

短縮版でも軽く触れたが、トランプ氏も敗北を受け入れる方針のよう。
政治を前に進めるためには、ある程度仕方がないのだろうね。
その上で「どうすれば共和党に支持が戻るか」を有権者に聞いたところ、〈1〉戦争を終わらせる〈2〉生活費やインフレに焦点をあてる〈3〉「米国第一」を徹底する〈4〉イスラエルとの関係を見直す――が上位に挙がったと記した。
讀賣新聞「共和党大敗にバンス副大統領~」より
有権者の反応を見ても、戦争に対する批判は高まっている。そういう選挙結果だったのだから、終結に向けた決断を迫られるのは間違いなさそうだ。
アメリカもイスラエルも失敗
ということになると、アメリカもイスラエルも方向転換を迫られていると見るべきだろう。
米軍、イランのゲシュム島に「防衛目的」の限定攻撃 中間選挙前夜
2026.11.03 Tue posted at 11:27 JST
米軍は2日、ペルシャ湾に浮かぶイランのゲシュム島に限定攻撃を実施した。米当局者がCNNに明らかにした。当局者はこの攻撃について、「イラン側が米軍施設に対して地対空ミサイルを使用していることへの防衛措置」だと説明している。
CNNより

相変わらず散発的に限定攻撃をしているようだが、効果の程は不明である。
ネタニヤフはトランプに賭けたが、両者とも負けた。
2026年11月4日
ドナルド・トランプ米大統領と共和党が中間選挙で大敗したことで、イスラエル国内、特に政治的右派の多くの人々は、ワシントンで最も親しい同盟国と見なされていた人々へのこの痛烈な批判の大きさに戸惑っている。
~~略~~
「明らかに、我々が目撃したのはトランプ主義の完全な拒絶を意味する歴史的な政治的津波であり、これは間違いなく単一の問題にとどまらない」と、メリーランド大学のシブリー・テルハミ教授(クリティカル・イシューズ・ポールのディレクター)は米中間選挙の結果について述べた。「しかし、外交政策、特にイラン戦争と米国のイスラエル支援は中心的な問題であり、アメリカ人はこれらを経済的な問題と結びつけて考えている」と付け加えた。
Aljazeeraより
少なくとも、効果の良く分からない戦争をいつまでも続けて欲しくない。そんなことより生活費が足らないのだ!というのが、アメリカ国民の本音なのだろう。
インフレはトランプ氏の責任とばかりは言えない部分もあるんだけど、戦争開始と関税政策は成功だったとは言い難い。
イランが停戦合意を守らないのも、問題ではあるのだけれど……、このブログで何度か指摘しているが、そもそもイラン国内はもはや舵取りができる状況にはなく、テロリストが勝手に戦闘を継続しているような情勢である。
つまり、イラン側の統治機構が壊れているので、自主的なブレーキがかけられないのだ。
これが、第5次中東戦争の行方を不透明にしているのである。
まとめ
アメリカの中間選挙によって、イラン情勢が変化することは避けられないだろう。
アメリカでは戦争継続に対する国民の不満が高まり、イスラエルでもネタニヤフ政権の求心力が低下している。両国とも、これまでのような戦争継続路線を維持することは難しくなりつつある。
しかし、それが直ちに停戦や和平につながるとは考えにくい。
そもそも、戦争を始めることと、戦争を終わらせることは別問題である。アメリカとイスラエルが戦闘を終わらせたいと考えたとしても、イラン側にそれを実行できる統制能力が残っていなければ、停戦は成立しない。
原油価格の値上がりも、各国の怒りを助長する問題である。
そうすると、どちらに転ぶにせよ長期化は難しかろうと思う。イラン自身の耐力も落ちているだけに、どこかでもう一度大規模攻勢という可能性が否定できなくなってきている。



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