「独自建造」という言葉のセンスに脱帽するしかない。
韓国 独自建造の新型潜水艦「徐熙」が進水
Write: 2026-11-04 09:50:06
韓国が独自に設計・建造した3600トン級の新型潜水艦「徐熙」が3日、韓国南部の巨済にある造船所で進水しました。
KBS WORLDより
「韓国」が「独自」に「設計・建造した」と、強調して伝えなければ!
という「気になるタイトル」なのだけれど、2隻目の3,600t級の潜水艦が登場である。これってバッチ2の2隻目だっけ?
大型潜水艦を増やす韓国海軍
大型潜水艦の採用
島山安昌浩級潜水艦は、韓国が採用した3,000t潜水艦で、「島山安昌浩」が1番艦で、「安武」が2番艦、「申采浩」が3番艦である。
え?2隻目とは何だっだって?
実は、島山安昌浩級潜水艦はバッチⅠが3隻、バッチⅡが2隻という構成になっている。今回進水した「徐熙」は、バッチⅡの2番艦なのである。ちなみに、バッチⅡの1番艦は「蔣英実」である。
バッチⅠとバッチⅡの違いについては、こちらの記事で説明したので、詳しくはそちらを参照していただきたい。

こちらの記事で触れたように、これまで韓国潜水艦の命名は、軍人や独立運動家などが中心だったが、「蔣英実」は科学者・発明家であり、「徐熙」は外交官という、少々毛色の違う人物が選ばれている。
そして、考え方も多少変化が見られる。
防衛事業庁が国内独自技術で設計された3600t級潜水艦「チャン·ボゴ-Ⅲ配置(Batch)-Ⅱ」の建造を始めてから約1年4ヶ月ぶりに後続艦の建造に入った。
防衛事業庁は12日、慶尚南道巨済のハンファオーシャンで海軍と造船所、防衛事業庁事業関係者などが参加し、張保皐-Ⅲ配置-Ⅱ2番艦の起工式を開催したと明らかにした。 起工式は潜水艦の船体を構成する最初のブロックを建造船台に設置する行事で、潜水艦の建造に本格的に着手したという意味を持つ。 昨年3月には、張保皐-Ⅲ配置-Ⅱ1番艦の起工式が行われた。
毎日経済より
バッチⅡの1番艦と同様、VLSを10セル搭載するタイプである。同時にミサイルが発射できるかは未確認だが、抱えているミサイルの本数を増やすことで作戦の幅を広げたという意味なんだろうね。
……ハッチが増えたことで、浸水事故など起こさなければ良いのだが。
実戦配備は2028年予定
そして、試験航行が行われた後、2028年頃には韓国海軍に引き渡される予定なんだとか。
「徐熙」は今後、試験航行などを経て2028年に韓国海軍に引き渡され、必要な訓練などを行ったうえで、実戦配備される予定です。
KBS WORLDより

相変わらずのスタイルではあるが、VLS(Vertical Launching System:ミサイル垂直発射システム)が10セルになった分だけ艦の長さがやや長くなった印象がある。
韓国製リチウムイオン電池と垂直発射システムを備えた3600トン級ディーゼル潜水艦「徐熙艦」が3日、韓国慶尚南道巨済のHanwha Ocean玉浦造船所で進水した。張保皐-Ⅲ Batch-Ⅱの2番艦である徐熙艦は、既存の島山安昌浩級より大型化した船体と強化された武装・探知システムを基に、長期潜航と精密打撃能力を高めたことが特徴だ。
Financeより
あと、探知システムを拡充したと報じられている。

3番艦も既に建造中なので、「上手くいかない」という結果は万が一にも認められないところが辛いところである。
そして、今俎上に上がっているのは、7隻目の原子力潜水艦化の話なんだけど……。

今のところは順調とは言い難い。
ソナーシステムの改善
今回、個人的に気になっているのは、ソナーシステムの改善という部分である。
船体が大きくなることで探知される可能性が高まる点は、騒音と振動を減らす設計で補った。主推進系統に問題が生じても動けるよう補助推進器を設置し、電子光学センサーの機能が制限された際に外部を直接観測できる貫通型潜望鏡も備えた。ソナーシステムと戦闘システムの性能を改善し、遠距離の目標を識別し複数の目標に対する武装運用を支援する能力も強化した。
Financeより
これは艦が大きくなったから搭載スペースが増えたことも関係しているようだが、詳しくは不明。
報道によれば、標的の探知能力や情報処理能力、長距離にある複数の目標を同時に識別・追跡する能力が強化されたとされていて、最新のデジタル技術による改善の結果だということらしい。
VLSの運用にあたって、マルチターゲット能力を向上させるのはある意味当然なので、国産化の比率でもあがったのだろうね、きっと。確認はできていないが。
ただ、以前から懸念されている予備浮力の拡充に繋がるようなポイントは見受けられない。その辺りも改善されると良いんだけど、どうなんだろうね。
「徐熙」の業績
そうそう、韓国潜水艦はネーミングセンスが独特で、ほぼテロリストで占められていたのだけれど、上で言及したように「蔣英実」は科学者というか発明家で、「徐熙」は外交官であったとされている。
徐熙
2010-07-09
国連の潘基文事務総長を輩出した韓国には 古代から外交の名手がいました。 高麗時代 、契丹族の遼を相手に「実利」と「自尊心」の二つの難題を同時に手に入れた徐熙がその主人公です。
若い頃から外交術に長けていた徐熙は993年、歴史に残る外交を展開します。
KBS WORLDより
少々大袈裟な歴史が伝わっているようだが、高麗は契丹との全面戦争を「外交だけで回避した」うえに、江東六州の領有権を認められ、武力を使わずに自国の領土を広げた英雄、ということになっている。
ただし、この話は、何もしないで領土を広げられたというわけではない。
このとき徐熙は、契丹側から「女真族を追い払えば、その土地を領有してよい」という条件を引き出しており、実際に高麗軍を率いて女真族を軍事的に制圧している。
まり、宋との関係を断ち切って契丹に従う代わりに、江東六州を契丹に代わって武力で制圧した、という見方もできるわけだ。
優れた外交手腕を発揮した人物という評価は妥当だと思うが、伝説的な英雄かどうかは疑問を差し挟む余地はあるようだ。
この見方をすると、「今も昔もコウモリ外交で乗り切っているのだな」という結論になる。
まとめ
世にも希な通常動力潜水艦にVLS搭載をするというチャレンジを続けている韓国軍だが、5番艦の進水できたことは評価に値することだと思う。
ただ、実例が殆どないと言うことは、有用性が低いと見られていたわけで。
そこを推して採用して、実際に使えるかどうかという話は、残念なことにまだ聞こえてこない。
そういえば、カナダは華麗に韓国潜水艦の採用を回避したようだが、韓国海軍は今後もこの路線を続けるつもりらしい。
さて、どこまで実用的な潜水艦に仕上がるのだろうか。
そうそう、全般的な韓国海軍の潜水艦のネタに関してはこちらを。




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