フランスでのデモはそれ程珍しい話ではないんだけど、今回は高校生のデモらしい。
仏高校生デモが全国に拡大、数百人逮捕 政府「極左が組織」と非難
2026年10月2日午後 1:51
ランス各地で教員不足や校舎の老朽化に抗議する高校生らのデモが広がり、1日は南部マルセイユなど各地で放火や警官隊との衝突が相次いだ。これまでに数十人が負傷し、10代を中心に数百人が逮捕された。
ロイターより
学生運動とは、これまた。
先日も、フランスでのデモに関しては記事にしたばかりだ。

検問突破の是非がコメント欄でも話題になっていたが、今回の学生運動となると、警官隊としても対処が難しくなってしまう。
なにしろ相手はまだ高校生だからね。
デモとテロ
フランスの伝統
日本では、「学生運動」と聞くと隔世の感があるが、フランスでは今なお行われてはいるようだ。
高校生の学生組織は、校舎の老朽化、教員不足への対応を要求している。デモは9月後半に始まり、1日にはパリやその近郊、南部マルセイユなどの約900カ所に広がった。西部ナントでは校舎が炎上。消防車を乗っ取って放火する動きも出た。政府は暴徒が学生に紛れ込んだとみている。
各地のデモには、極左政党「不屈のフランス」の議員や市長が駆け付けた。政府の批判に対し、同党は「学生を支援するためだ。暴力をあおってはいない」と反論した。来年春の大統領選を前に、若者層への浸透を狙ったという指摘もある。
産経新聞より
今回のデモについては、フランス政府が「極左勢力による組織化」を指摘しているようだが、実際にどこまで組織的な扇動があったのかは、現時点では詳細が分からない。
ただし、左派政党「不屈のフランス」がちょっと煽ったくらいでデモに発展するか?というと、そういう構図は日本では成立しにくい。一方で、フランスは案外これが成立する可能性があるようだ。
五月危機
フランスで「五月革命」とも言われる、1968年5月にパリの大学生が政府の教育政策に不満を爆発させて暴動を起こしたのをきっかけに起こったド=ゴール体制に対する、広範な労働者・市民の反対運動。ド=ゴール政権は実力で運動を抑えたが、国民的支持を無くし、翌年のドゴール大統領辞任につながり、ド=ゴール時代を終わらせる画期となった。
世界史の窓より
調べてみると、近年でも複数回の学生デモによる成功体験があって、学生デモによって社会を動かすという土壌があるのだ。
抗議活動と火災
だが、その抗議活動が暴力に繋がってしまうのは、どうなんだろうか。
抗議活動は先月に首都パリ周辺で始まり、全国に拡大した。当初は学校の封鎖が中心だったが、各地で暴力行為が増加。少なくとも2校で火災が発生したほか、車両への放火や警官隊との衝突も起きている。
ロイター「仏高校生デモが全国に拡大」より
学生中心のデモだったハズなのだが、何故か各地で暴力行為が増加し、学校や車両への放火が見られたとのこと。
もはや、単なる犯罪者集団に成り下がってしまっている。政治的目的で破壊活動をするのであれば、それはデモではなくてテロと呼ばれてもおかしくはない。

どうやら、目立つことで訴求力を高めようという狙いがあるらしいのだが、どん引きだ。
だが、こうした行動に繋がっているのは、ブラック・ブロックやカサーなどと呼ばれるテロ手法が組み込まれているからのようだ。
黄色いベスト運動などでも見られた破壊を伴う抗議活動に混じって過激な暴徒がいて、抗議活動を扇動するような働きをするようだ。まさにテロリストの所行だが、群集心理が手伝って、こうしたカサーの行動に追従するケースが後を絶たないようだ。
フランス革命(1789~1799年)が成功体験であるかのように語られるフランスである。フランス社会はこうした騒ぎをある程度容認しているからこそ、おかしな連中も許容されてしまうのかもしれない。
「自由の代償」などとも表現されるようだが、その実態は、そんな格好いいものではないのだ。
ロシアによる分断工作
ここからはやや陰謀論的な話が含まれるので、ご注意戴きたい。が、あくまで可能性として考えられる脆弱性ではあるのだ。
フランス、中道派候補者に対するロシアの偽情報キャンペーンを調査
2026年8月18日午前7時56分
パリ検察庁は火曜日、来年の大統領選挙における中道派候補者を標的としたロシアによる偽情報工作の疑いについて捜査を開始したと発表した。
フランス政府は、ウクライナとの戦争を背景に、2027年の選挙においてロシアが介入し、よりクレムリン寄りの候補者をエリゼ宮に送り込むリスクを深く警戒している。
パリ検察当局は、主要な中道派候補であるエドゥアール・フィリップ元首相とガブリエル・アタル元首相を標的とした、ソーシャルメディアに投稿されたディープフェイクや偽の動画報道について捜査を進めていると、AFP通信に語った。
BARRON’Sより
歴史を振り返ってみれば、1940年、ドイツの電撃戦によってフランス軍はわずか6週間で惨敗している。そして生まれたヴィシー政権はナチスに協力する一派として動く一方、自由フランスは亡命政権として動き、ナチスへのレジスタンスとして機能した。
結果、1944年に連合国軍がノルマンディー上陸作戦によってフランスを解放すると、さっさとフランスは掌を返して連合国軍側につく。
この時の話、単純化は出来ないが、ドイツからも社会の脆弱性を突かれたという側面があるし、ノルマンディー上陸作戦以降の話だって、掌返しをして受け入れられるだけの土壌はあったのだ。つまり、反政府組織的な動きも、ある程度容認される素養があるという意味だ。
今回も、どうやら親ロシア派の政党が存在して、分断工作に乗っているという危険性があり、そういった捜査はフランス国内でも行われている。
実際に、ロシアからの工作活動がデモに結びついたかは分からないが、そうした工作が機能しやすいという側面は伝統的にあると言っても過言ではあるまい。
だからこそ、利用される可能性を警戒すべきだろうし、今回のような破壊活動を伴うデモには、フランス社会が断固として否定すべきなのだ。
おっと、フランスの悪口はここまでにしておこう。
まとめ
今回のデモについて、フランス政府は「左派政党LFI(不服従のフランス)と関連勢力によって組織された活動」と分析しており、社会的な分断が置きつつあると警戒を強めている。
デモは民主主義を支える力になり得るので、権利として認める一方で、破壊活動は断固として否定すべきなのだ。
でないと、そこに付け入られる。
そういえば、2027年春に予定されているフランス大統領選挙は、左派と右派の衝突になると言われており、候補者の一人ジャン=リュック・メランション氏は、まさに左派政党LFIからの出馬である。対するは右派政党国民連合党のマリーヌ・ル・ペン氏というから、なかなか注目の選挙になりそうだ。
興味深いのは、右派も左派も親露的だってことだね。注意深く見守りたいと思う。



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