相変わらず、財務省の論理を使って記事を書いているようで、ドン引きである。
ふるさと納税のぶれ、地方財政に誤算 24年度はマイナス影響863億円
2026年6月12日 17:00
2024年度のふるさと納税で全国の自治体の歳入に863億円のマイナス効果が生じたことが12日、会計検査院の調べで分かった。ふるさと納税で地方財政の予算と決算にぶれが出ており、拡大すれば国や自治体の安定した財政運営を左右しかねない。
日本経済新聞より
ふるさと納税の管轄は総務省で、財務省がこれまで徴税権を一括で管理していたことを考えると、財務省側の理論が否定的になるのも無理はない。が、しかし、これが国民のためにどうなの?という観点や、経済的にどうなのという観点を忘れて議論すべき話ではないと思う。
仕組みと問題点
「ふるさと納税」で損をする自治体?
今や宣伝をバンバン打つほどの知名度を誇る「ふるさと納税」だが、余程儲かるのだろうね。
ふるさと納税、大手サイト各社「手数料下げない」 効果見えぬ総務省告示
2025.9.26
総務省の方針で、10月からふるさと納税を通した仲介サイトによる寄付者へのポイント還元ができなくなる。同省の狙いは自治体の手数料負担軽減だが、本誌の取材に仲介サイトの大手各社は「下げる予定はない」と回答している。
日経ビジネスより
特に大手ECサイトはかなりの利益を上げているようで、ポイント還元競争などが激化するので、総務省から指導が入ったとか。

こんな構図らしい。
システムを使わせるだけで5~15%の手数料や総量を取るのだから、確かに儲けは出るんだろうね。ただ、この計算が本当に成り立つのかはやや疑問である。
検査院によると、24年度はふるさと納税で、自治体全体に計約1兆2727億円が寄付された。しかし、ここから住民税の控除額約7688億円のほか、返礼品や、ふるさと納税のポータルサイト運営事業者に支払う手数料、返礼品の送料などの経費約5901億円を差し引くと、約863億円の赤字となったという。
読売新聞より
冒頭のニュースは、こんな計算で863億円の赤字ってことらしい。
計算の中身
「間違っている」とまでは言わないけれど、この計算は本当に成り立つかについては少し疑問もある。
- 寄付の受入額:+1兆2,727億円
- 住民税の控除額(流出した税金):-7,688億円
- 募集経費(返礼品、サイト手数料、送料など):-5,901億円
- 1兆2,727億円ー7,688億円ー5,901億円=ー862億円}
確かに計算自体は成り立つのである。
寄付は「ふるさと納税利用者」が支払う総額であり、仮にふるさと納税がなかったとすれば、居住者がその地域に支払ったであろう税金という計算である。
そして、経費の-5,901億円というのは、地元の小規模事業者や農家からの商品購入に充てられている金額なので、地元の経済を回す効果がある。
全体の税収という意味合いで見ると、やや雑な計算だと言わざるを得ない。プラスになっている自治体もあるし、何より地方経済にも寄与しているからだ。
【緊急調査】ふるさと納税制度の見直しで、35.5%が「事業継続・雇用」に危機感
2025年12月16日 10時51分
一般社団法人ふるさと納税地域商社会(代表理事:株式会社パンクチュアル 守時健)は、政府・与党において検討されているふるさと納税制度の見直し(募集費用の上限引き下げ、高額所得者の控除上限設定等)に対し、地域経済への影響を測定する緊急アンケートを実施しました。
当会は、「自治体が地域のために自由に活用できる財源を拡充する」という国および総務省の基本的な趣旨には深く賛同しており、これまでも制度の適正な運用推進に尽力してまいりました。
一方で、今回の制度改正の具体的内容によっては、地域に還流する資金総額そのものが大きく減少し、結果として返礼品を提供する地域事業者の売上や雇用に深刻な影響を及ぼす可能性があることを、強く懸念しております。
PRTIMESより
参考にしたのがPR TIMESの内容なので、あくまでそういう意見もあるという程度に捉えて欲しいが、少なくとも議論がある内容だと理解しておきたい。
納税者のインセンティブ
収めるべき税金の2割を上限として、別の地方自治体に寄付を行い、返礼品も貰える!という、結構嬉しい制度なのではあるが、納税者の意思で選択できるという意味で、かなり画期的な税制だと思う。
総務省の整理としては、地方への財源移転と地方創生に繋がるという意味で、それなりに意義のある制度だとしている。返礼品競争が過激化するなどの問題点はあるのだけれど、財務省としては徴税権に手を突っ込んできたことに我慢ならないということなのだろうね。
この問題は、政府の国家設計に関わる問題なので、今直ぐ排除すべきとかいう極論は馴染まないと思う。問題点は解消していけば良いし、大手ECサイトを肥え太らすだけだという批判があるのなら、例えばマイナポータルサイトにふるさと納税のサイトを組み込むとか(手数料削減)、いろいろ手はありそうだ。
報道は、一斉に「問題のある制度だ」と騒いではいるし、税収が減ってしまった自治体にとっては業腹な制度だとは思うのだが、納税者が納税先を選べるということは、かなり意味のあることだと思う。
まとめ
今回は「ふるさと納税制度」を取り上げてみたが、結局この話は税制の設計そのものに関わる話である。
会計検査院の試算では、寄付額から税控除額や各種経費を差し引くと862億円のマイナスになったという。数字だけを見れば、「制度として失敗しているのではないか」という議論に繋がりやすい。
だが、途中で紹介したように、総務省は地方への財源移転の一助として位置づけ、これが地方自治体の努力で増やすことが出来るという設計になっていることは見逃せない。
手数料的な問題は確かにあるし、返礼品競争の加熱も問題はありそうだが、制度として間違っているとは思わないんだよね。過疎地域でも逆転のチャンスがあるという制度という捉え方をすれば、数字以上の意味があるように思われるからだ。



コメント
私しゃ納税額の10%を「どの省庁の予算に使うか決定権」を納税者に与えるべきという論者なので、全面的に木霊様に賛成!
つか、納税を減らされる自治体は 「努力が足らん」のです!
これは人口流出と同じで、例えば若い女性人口が激減してる自治体があるけど、そういう県ほど努力してない!
納税を減らされたくなければ、ふるさと納税で「集金できる魅力」を作れと言うのです。それができない自治体が細っていき、若年人口か流出するのは仕方ない!
こんなこと言ってはなんだけど、もう
既にカウントされた出産数だけで、
今後30年以内に半数の自治体が消滅する事態が判明してます。
ダメな自治体は淘汰される運命だし、
それをゾンビ化させて生き残らせても無意味なので。
財務省の縄張り意識は最低!
つか、私は警察すら、 武力と逮捕権を持つ「日本治安公団」設立し、
警察のライバルにして警察を監視する新たな組織を作るべき想うてる。
もっと言えば今の中央集権国家でなく
6つくらいの州に分かれた連邦国家に。明治維新いらいのシステムは明らかに時代に即してない。
国家が拡大していった時代の制度を、
国が縮んでいく時代に、そのまま使おうとしても無理がある!
しかし、それを絶対に認めたくないのが霞が関の連中で、その中心が財務省なのでせう。
税制の1つのバリエーションとしては結構面白いのですよ、ふるさと納税は。
地方創生の足がかりにもなりますから、地方交付税交付金を配るよりも効果が期待できるという意味でも、もうちょっと拡大しても罰はあたらないかも?
各省庁、それぞれ縄張り意識はあるんでしょう。
そして、ご指摘の警察もちょっと問題のある組織ではあるんですよね。
各県で警察組織を持つのではなくて、もうちょっと広域の組織割りで運営しても良さそうだし、警察って中央組織が欠けていますから、FBIのような組織を作ったって良いと思っています。
こんにちは。
財務省と、御用聞き記者の巣窟の日経には反吐が出ます。
「ふるさと納税」は、税収の主力ではないはず。
こんなものを主力に置くようでは、目もあてられない。
ついでに言えば、「カネが取れる」返礼品を用意出来ない時点で詰み。
その程度のシステムだと思ってます。
文句付けるなら、改善案を示せや>日経、ちゃんと消費者が嬉しくなる奴をな!
こんにちは。
日本経済新聞は、どうしても財務省ロジックで色々物事を考えがちですよね。
ふるさと納税が完璧なシステムとは思っていませんが、税制の1つとしてはどちらかというと優秀な部類だと思っていますよ。