北朝鮮に出かけるまでは、北京から動かざること山の如しを決め込んでいた紅い皇帝こと習近平氏だが、ミャンマーへ……。あ、ミャンマー大統領のミンアンフライン氏が北京に来たのか。相変わらず動かないね?
中国主席、ミャンマーと関係強化の意向 北京で首脳会談
2026年6月16日午後 3:42
中国の習近平国家主席は16日、ミャンマー軍事政権のミンアウンフライン大統領と北京で会談し、関係強化の意向を示した。
ロイターより
ともあれ、外交には積極的になっているようだね。
確実な一手を打てたか
習近平氏は何を手にしたか
先日書いた記事がこちら。

この後、北朝鮮へ訪問した習近平氏。これまで「北京で待つ外交」をやっていたので、もうちょっと積極的な外交に移行するかと思っていた。
が、北朝鮮への訪問自体も余り芳しい成果だったとは言い難い。

こちらの記事でも、そういう観点でまとめられている。
習近平が7年ぶりに北朝鮮に出向くわけだ…金正恩に「満面の笑み」を見せざるを得なかった”立場逆転”の大誤算
2026/06/16 10:00
中国の習近平国家主席が、7年ぶりに首脳会談で北朝鮮を訪問した。歓迎式典での「満面の笑み」は、中朝の揺るぎない友情を見せる舞台装置だった。
~~略~~
今回の会談で目立ったのは、成果を強調する言葉の多さと、その一方で核問題を正面から扱わなかった空白だった。6月10日に配信されたロイターの記事によれば、中朝双方は訪問の成果を強調したが、非核化や米国を議題の中心から外した。専門家は、北朝鮮の核計画が議題の前面から外れたことを金正恩にとって「大きな勝利」と見ている。
PRESIDENT Onlineより
北朝鮮としては支那を振り向かせたことが成果だったのだろうが、習近平氏としては期待したほどの成果が得られたとは言い難い。
PRESIDENT Onlineでは、台湾有事の際に北朝鮮が協調してくれなければ、中国は在韓米軍を朝鮮半島へ張り付けておくことが難しくなると分析している。
在韓米軍が台湾有事に機能的な抑止効果を発揮するとは思わないが、しかし、そちらに気をとられるような事態に発展すればアメリカとしても動きにくい。
だから、どうあっても牽制しておいてもらわねば困るということになる。
つまり、地政学的に北朝鮮が支那から剥がされてしまうのは、支那としては嬉しくない。
支那がこれまで建前として必ず入れるようにしていた「朝鮮半島の非核化」の文言も公式発表から完全に消えたことが、成果と言えば成果かもしれない。
民主主義国家・新生ミャンマー
で、冒頭のニュースに戻ると、今回北京に招いたのはミャンマー大統領である。
中国国営新華社通信によると、習氏は近隣諸国を巡る外交戦略の一環として、ミャンマーとの関係を優先していると述べ、ミャンマー現政権による同国の発展と安全に向けた取り組みへの支持を表明した。
ロイター「中国主席、ミャンマーと関係強化の意向~」より
ミャンマーといえば、軍事クーデターによって軍事政権が掌握したのが2021年のこと。それ以降は軍事政権が国家運営をしていたが、先日、無事、民主化を果たした。無事?
(社説)ミャンマー 正統性なき軍政の継続
2026年4月19日 5時00分
軍服を脱いで民族衣装をまとっても、強権体質は隠せない。国際社会は、見せかけの「民政移管」を許さず、批判の手を緩めてはならない。
ミャンマーの連邦議会で10日、新政権の宣誓式があり、先月末に国軍最高司令官の座を退いたミンアウンフライン氏が大統領に就任した。
朝日新聞より
朝日新聞が批判的な記事を書いているが、僕もコレに関してはどちらかというと同意したい点が多い。
軍事政権下から民政移管した、と言いつつ、実際には軍事政権を指揮していたミンアンフライン氏が大統領に就任。看板だけ掛け替えたという杜撰な突貫工事っぷりである。
ミンアウンフライン氏は就任演説で「国家は多党制民主主義の道を歩んでいる」と話した。詭弁も甚だしい。
朝日新聞「(社説)ミャンマー~」より
多党制民主主義と胸を張っているが、実際はミャンマー議会はその8割が国軍系の議員で占められ、議員投票で大統領が選ばれた。指定席は既に決まっていたのだ。
で、このミンアンフライン氏の後ろ盾が支那とロシアというのだから、乾いた笑いしか出ない。
支那にとって重要なエネルギー拠点
なお、このミャンマーを抑えることの意味は、支那にとっては意外に大きな意味がある。特に今となっては、ね。
中国、原油輸入路を多様に ミャンマー結ぶ陸路を確保
2017年4月13日 0:33
中国が中東産原油の輸入ルート多様化を急いでいる。雲南省昆明とミャンマー西部の港を結ぶパイプラインがこのほど稼働し、米国の影響力が強い海域を回避する「陸路」を確保した。原油調達のリスクを低減する「エネルギー安全保障戦略」は大きく前進した。巨額の資金支援を通じて東南アジアへの影響力を高める思惑も透ける。
~~略~~
パイプラインは中国の2016年の原油輸入量の6%弱に相当する年2200万トンを輸送する能力を持つ。主に雲南省昆明と重慶市の大規模製油所で精製し、周辺都市での消費に回す。
日本経済新聞より
パイプラインの原油を送る能力はそこそこあるので、ここを活用できれば支那はマラッカ海峡をパスして原油の輸入が可能だ。
今はイランからの安い原油購入ルートが機能不全に陥っているのでほとんど役に立たないが、実際にはこのルートを確保できたことはエネルギー戦略的にも結構大きな意味があったのだ。
まとめ
国際的にも動きにくくなっている支那ではあるが、それでもやるべきことを見定めて動いているようだ。
良く言えば手堅いところとの外交で成果を積み上げているといえるし、悪く言えば最低限の部分を抑えるに留めている。支那にとっては、北朝鮮もミャンマーも、対米戦略やエネルギー安全保障を考える上で切り離せない存在だからね。
ただ、今のところそれ以外のところがパッとしないんだよね。モンゴルとの外交アプローチにも失敗している様子だし。



コメント
なるほどパイプラインですか。ふむ。
シナがミャンマー軍部に加担してきたのは、要はイラワジ河の通行権を手に入れて、ベンガル湾からインド洋へと出る水上輸送路を確保したかったからすよね?
ただミャンマー軍部もバカてなくて、
それやると国内最大の河川・水上交通路をシナに握られる!
んで利用するだけして、河川の自由通行は頑として認めないできた。
けど、パイプラインなら、自分たちに利益あるし、いざって時に「止める」という非常手段が使える。
つまりイニシアチブが握れる!
それでホイホイと乗ったのでないすかねぇ……。
何でミャンマーかなと、最初は思ったんですけどね。
戦略的ではあるんですよ。
そして、最低限のコストで結構効果は出ます。
なお、パイプラインですが、ソレをやったのがウクライナなんですね。
ミャンマーが遷都して軍の影響が強い民主化をした理由
掘っていないのに石油が湧き出したから
BS NHKの朝のニュースを見て覚えている
ほほう、そういうニュースがあったとは。
ちょっと調べてみますね。
こんにちは。
ミャンマー、「ビルマ」だった頃の方がマシでしたね。
「マレーの虎」とか、もう居ないのか……
こんにちは。
今、ミャンマーのことを調べていますが、なかなか酷い感じの話ですね。
困ったことに。
紅皇帝は、眼前に難問が山積していて、毛染めして若く見せる余裕すらないようですね。
近頃目立つ白髪頭。年齢相応ですが。
そういえば、北朝鮮に訪問した時に、老眼鏡をかけた姿が激写されて、それが問題になっていたようですね。
支那では、老眼鏡は「弱く見えるアイテムだからNG」らしいです。