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EUのEV優遇策に絡めた的はずれな高市批判

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報道
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久しぶりに、日本のメディアの記事を取り上げてみよう。日刊ゲンダイが「日本のメディア」と言って良いかどうかは議論のあるところかもしれないが。

高市首相G7欠席が招く最悪事態…EUにEV優遇策「日本車除外案」、実施なら国産自動車メーカー大打撃

2026/10/27 06:00

いまさら、お願いしても手遅れなのではないか。

高市首相は28日に行われるドイツのメルツ首相との会談で、EUが予定している電気自動車(EV)の優遇策について、修正を求める方針だ。日本製のクルマを「優遇枠」から除外しないように要請するという。

日刊ゲンダイより

実に的外れな記事なのだが、この記事に賛同している層がかなりいてビックリした。

何が的外れなのか?といえば、時系列から何からメチャクチャなのだ。まあ、酷いとしか言いようがない。

G7のオンライン会合はほぼ関係なし

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突っ込みが追いつかないバカバカしさ

そもそも、日刊ゲンダイがまともな記事を書くと期待する方が間違いなのだが、これをネタにして政権批判をしている人を見ると、その精神構造は大丈夫なのか?は疑問に感じる。

だが、このネタに触れることを決めたのは、他のメディアもこれに呼応するような姿勢を見せたからだ。

今回、各メディアが一斉にこの話題を取り上げた背景には、高市政権を攻撃する材料として、この件を取り上げる方針があったのではないかと思えてくる。

G7のオンライン会合自体はちょっと前のネタのハズなのに、各社一斉に様々な角度から攻撃を始めている。

「砲撃始めー!」との号令でもあったかのようだ。

だが、この手の記事を読んだ時には、せめて、事実確認はした方が良い。

EV優遇政策について

1つずつ確認していこうか、大した分量はないしね。

先ずは、EV優遇政策の話だ。

ドイツとフランスは16日、EUによるEVの優遇策から日本製を除外する案で合意している。

日刊ヒュンダイ「高市首相G7欠席が招く最悪事態~」より

この報道は、恐らくはフィナンシャルタイムスの記事を読んでのことだろう。

フランスとドイツ、日本車を除外したEU製車両優先輸入計画で合意

2026年10月16日 10:05 (GMT+9)

英国のフィナンシャル・タイムズ紙は10月15日、フランスとドイツが、欧州連合(EU)が検討中の「欧州製」自動車優遇制度案から、日本をはじめとする他国で生産された車両を除外するよう連携していると報じた。

~~略~~

欧州委員会は今年3月、「産業加速法案」を提案した。この法案は、公共調達や補助金において欧州製品を優先するものである。提案の重要な柱の一つは、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の購入奨励金や公共調達において、欧州製の車両を優先することだ。もし仏独協定がそのまま採択されれば、日本、韓国、トルコで生産される車両は競争上の不利に直面する可能性がある。

Financeより

このように多くの報道がフィナンシャルタイムス紙を引用しているが、15日には既に方針が決定されていて、16日に決定だと報じられた。

参考までにジェトロの関連記事をピックアップしておこう。

不思議なことに、9月以降に関連のニュースは見当たらないが、少なくとも3月頃から産業加速法案(IAA)の議論は活発に行われていることがわかる。

産業加速法案(IAA)の骨子は域内での生産を優遇し、外資には一定の制約を付けるよというもので、支那のように格安で輸出してくるものを規制する趣旨だと、これらの記事からは理解できる。

そして、イギリスやイタリアからも警鐘や政策見直しの意見が出ているのが現状だ。

何の会合だったのか

これが、G7のオンライン会合に出たら回避できた?そんなバカな。

「今さらお願いしても手遅れではないか」って、指摘はご尤もだけれど、G7のオンライン会合はおそらく関係ない。

そもそも、このG7オンライン会合って、どんなモノだったのか?という話が抜けているのだが、こちらのニュースを参照すると更にバカバカしいことが明らかになる。

G7、2日にエネルギー市場巡り協議 仏大統領府発表

2026年10月2日午後 5:59

フランス大統領府は2日、‌マクロン大統領が同日午後2時30分(1230GMT、日本時間午後9時30分)から主要7カ国(G7)首脳によるテレビ会議を主宰す⁠ると発表した。原油と石油製品の国際市場で講じ得る措置について協議する。

マクロン氏は前夜、トランプ米大統領、カナダのカーニー首相とそれぞれ電話会談し、‌こ⁠の問題について討議した。

ロイターより

そう、フランスの鳩山由紀夫との呼び声の高いフランス大統領のマクロン氏だが、10月2日に同日午後2時30分(日本時間で午後9時30分)にテレビ会議をやるぜ!と言い出した。

いや、事前に打診しろよ。

まあそれはいいとして、問題はその議題である。

議題は、ディーゼル(軽油)備蓄の放出についての是非であり、アメリカから「欧州で軽油を出せよ」と脅されたことに対応するものだ。

関係筋の1人が2日、ロイターに語ったところによると、米国はフランスやドイツを含む欧州の⁠主要国に対し、20日以内に1億バレルのディーゼルを放出するよう要求した。

EU加盟国が協議したフランスの案は、欧州諸国が5000万バレルのディーゼルを、国際エネルギー機関(IEA)加盟国が5000万バレルの原油を放出するという内容。

ロイター「EU、ディーゼル備蓄放出を協議~」より

なお、このG7のオンライン会合は30分で終了したという。

首相自身は16日の参院予算委員会で、国際会議用の大型ディスプレーの準備が整わなかったと釈明したが、27日には茂木敏充外相が「(首相の発言回数が)数分、1回きりになる」ことなどを挙げて説明。

東京新聞「高市首相の「欠席理由」変えました~」より

頭狂新聞も酷いな。

会合の時間が短く、首相の発言機会も限られることを説明した茂木外相に対して、あたかも高市首相が欠席理由を変えたかのような見出しを付けている。

ともあれ、高市氏がこの会議に参加出来ていたとしても、まさか議題と関係ないEVの話が出来たとも思えない。

そうすると、「G7を欠席したから日本車が不利になった」という筋書きそのものに無理がある。

修正を求める要請

さて、では、メルツ氏との会談に意味があるのか?という話に移ろう。

高市首相は28日に行われるドイツのメルツ首相との会談で、EUが予定している電気自動車(EV)の優遇策について、修正を求める方針だ。日本製のクルマを「優遇枠」から除外しないように要請するという。

日刊ヒュンダイ「高市首相G7欠席が招く最悪事態~」より

これ、サイレント修正済みだと騒ぎになった部分で、修正前はメルケル氏だったらしい。ああ、調べたら謝罪が出ていたようだね。

と、さておき、まず、このメルツ氏との会談なのだが……。

メルツ独首相、28日に来日=安保・対中で意思疎通

2026年10月27日 14時28分

ドイツのメルツ首相は28日、昨年5月の就任後初めて日本を訪れ、高市早苗首相と会談する。ロシアの侵攻を受けるウクライナ情勢や、覇権主義的な中国の動きなど安全保障環境について意思疎通し、国際社会の安定に向けて足並みをそろえる。約30社の独企業トップが同行。対米依存からの脱却を目指すドイツは、人工知能(AI)や核融合などの先端分野で日本との連携を深めたい考えだ。

時事エクイティより

今回の会談は、メルツ氏の訪日に合わせて組まれたモノ。だから、G7を欠席したことへの埋め合わせとして急遽設定されたものでは断じてない。以前から予定されていた首脳会談であり、その場でEV優遇政策についても話し合う、ということだろう。

一方、現状のメルツ氏だが、ドイツ首相としては死に体で何か出来るような状態にない。

そうすると、高市氏が何をお願いしたところで、ドイツの外交方針が変わるとも思えない。

また、そもそもの話、EV優遇政策というのは欧州委員会(EC)が主導する「産業加速化法(IAA)」というEU全体の法律である。

欧州委員会でもドイツとフランスが主体になって議論が進んでいるからといって、メルツ氏の意見で大きく中身を変えることは不可能。それがあたかも変えられるように報じることは、制度の仕組みを無視した乱暴な議論だ。

打撃は大きいが

ここまで述べてきたように、EUのEV優遇政策が日本の自動車産業にとって不利に働く可能性はある。

そういう意味で、EV優遇政策に関する日本への弊害は大きいモノの、G7のオンライン会合やメルツ氏訪日に合わせた会談で、何か変わるわけではない。

さらに、記事にはまたしてもおかしな部分がある。

EVは価格が高いため、補助金や税優遇がなければ、大幅な販売減となるのは避けられない。事実上、EU市場から締め出されることになる。

日本にとってEUは、年間約200万台を販売し、国内から約60万台を輸出している重要な市場だ。EU市場を失ったら、日本経済への影響も大きい。

日刊ヒュンダイ「高市首相G7欠席が招く最悪事態~」より

2025年のEU域内における日本メーカーのEV販売台数実績データだが、以下の通りである。

メーカー別の主なEV車種と年間販売目安:

  • トヨタ(bZ4Xなど): 約1万8,000台
  • 日産(アリア、リーフなど): 約1万3,000台
  • ホンダ(e:Ny1など): 約3,000台
  • マツダ(MX-30など): 約1,000台

合計で約3万5,000台(欧州の全EV市場のわずか2%未満)であり、一方、支那製EVのシェアは月次ベースで14.5%となっている。一方、欧州市場における2025年の支那製EV販売台数実績データは35万~40万台に達して、急激にそのシェアを拡大している。

2025年の欧州市場における日本車販売台数合計は約178万台とされ、現地生産をするトヨタは約80万台(グループ全体で約123万台)を売り上げたという。200万台はそういった数字を加味したモノだと思われるが、日本からの輸出品と現地生産品の規制は別に考える必要がある。更に、この数字はEV販売数ではない。

つまり、日本メーカーの車がEU市場から締め出されることと、日本メーカーのEVが優遇対象から外されることは、同じではない。

また、販売される車はユーロ6という排ガス基準を満たしている(現行はユーロ6d)もので、今後はユーロ7を満たさないと売れないよという時代が来る予定。

排ガス規制はユーロ6据え置きだが、新たにブレーキダストの基準が含まれるようになるので、EV販売も戦々恐々としている状況だ。

……というわけで、EV優遇政策だけ考えて論じるのは、極めて乱暴な話なのである。

フランスが激怒?!

ここまででも十分に的外れなのだが、記事はさらに妙な方向へ話を進めている。

更に内容は良く分からない方向へ。

高市首相が「G7」を欠席したことにフランスが激怒しているというのだ。

「高市首相が、2日に開かれたG7のオンライン首脳会議を欠席したことに、議長国のフランスはカンカンだといいます。トランプ米大統領も参加したのに、日本だけが官僚による代理出席でした。2023年以降に開かれた過去8回のオンライン会合には、いずれも日本の総理は出席しています。

日刊ヒュンダイ「高市首相G7欠席が招く最悪事態~」より

上に紹介したように、今月2日のG7のオンライン会合は、唐突に決定した上に、フランスによる対アメリカ・プレゼンだったというのが実態である。

そうすると、トランプ氏が出席しないわけがない(そもそも、トランプ氏の都合に合わせた可能性が高い)し、日本が欠席したところで、本当に激怒するのか疑問だ。

だいたい「議長国のフランスはカンカンだ」というのは、どこ情報なのだろうか。

日本が欠席したことをフランスが問題視した可能性は否定できないが、それが外交上の重大な問題になったのかどうかは、別の話である。

高市批判に着地

記事は最後にこの様に結んでいる。

高市首相がドイツのメルツ首相に、日本車を優遇して欲しいとお願いしても、応じてもらえないのではないでしょうか」(経済評論家・斎藤満氏)

日刊ヒュンダイ「高市首相G7欠席が招く最悪事態~」より

……誰よ、斎藤満って。ええと?UFJつばさ証券金融市場調査部長、チーフエコノミストで、日銀の元総裁であった黒田氏に対する猛烈な批判……。

あー、なるほど。安倍晋三嫌いで有名な人物のようだね。そうすると、「安倍晋三の弟子」と言われる高市氏への批判は腑に落ちる。高市氏が嫌いでも批判してもそれは自由だ。だが、批判するなら、せめて真っ当な批判をしようぜ。

メルツ氏へのお願いは確かに効果が薄い。でも、G7のオンライン会合を欠席した話とは全く関係ないことは、既に上で述べた通りである。

それを乱暴に結びつけた上で、「高市外交の失敗」に着地したのは、結論ありきでの批判と言われても仕方があるまい。少なくとも僕にはそう感じられる。

みなさんは、こんな記事を有り難がる前に、どういう話かはしっかり検証するようにした方が良いだろう。

まとめ

G7のオンライン会合の経緯を調べ、EUでのEV優遇政策の話を調べれば、日刊ヒュンダイが的外れな議論を展開していることは、容易に分かる。

そもそも週刊誌ネタに真面目に突っ込みを入れても仕方がないのだが、今回は余りに酷い。

関係のない2つの事象を結びつけて「G7を欠席したから日本車が危ない」といった話に仕立てても、問題の本質は見えてこない。

先日、このブログではEUによる内燃機関車の全面禁止が怪しくなってきた、という話を取り上げたばかりだ。そういう背景をしっていれば、この手の記事には引っかかりはしないだろう。

【短縮版】EUは内燃機関の全面禁止を断念か
方向性としては、どんどん緩和の方向に向かっているので、「アレは一体何だったのか」とは感じるのだけれど。この話、興味のない人はあまり追いかけてはいないのかもしれない。ヨーロッパで環境原理主義の政策が推し進められた結果、EV化を推進しようぜって…

……引っかかってはいないよね?

コメント

  1. 匿名 より:

    リチウムイオン二次電池のリチウムリサイクル率日本製90%以上、日本製以外30~50%

    リチウムイオン二次電池の北欧の冬で充電可能なのは日本製、小惑星探査機ハヤブサで使用

    日本資本で欧州にリチウムイオン二次電池の工場作って下さい
    日本資本で欧州にリチウムリサイクル工場を作って下さい
    日本資本いやじゃ

  2. 山童 より:

    「メン・イン・ブラック」という
    映画で、調査員が新聞スタンド
    (死語)で売られているイエローペーパの「私はエイリアンにレイプされた」という見出しを観て、
    「貴重な情報源だ」と買うシーンに爆笑した事があるけど、
    日刊ゲンダイをネタ元にする批判者って、エイリアンを相手にでもしているのだろうか😂