ここのところ、このシリーズに触れていなかったので、軽く整理しておくことにする。内容はそんなに珍しい話ではない。
大邱の商業ビルで天井崩落、38人負傷 老朽建物で無届けの販売催事
October. 12, 2026 09:03
大邱市北区の商業ビルで、高齢者向けの販売催事中に天井材が崩落し、38人が負傷した。警察は天井材とそれを支えていた構造物の欠陥や老朽化の有無などを調べている。販売催事は管轄の自治体に届け出ておらず、事故が起きた建物は完成から32年が経過していたが、延べ床面積が小さく、法定の定期安全点検の対象にも含まれていなかったことが分かった。
東亜日報より
韓国の小規模ビルは、老朽化が進んでいるようで。築32年の物件で天井が崩れ落ちるトラブルがあったようだ。
ありがちなトラブル
老朽化と無届け
韓国の商用ビルは老朽化が進んでいて、大体、4割くらいのビルが築30年以上のものとなっているようだ。
ただ、老朽化が進んだら天井が落ちてしまうのか?というとそれは違うのである。
警察が確保した業者側の室内カメラの映像には、出入り口の左側にある舞台の上の天井材が先に落下し、残りの部分も相次いで崩れ落ちる様子が映っていた。天井材は石こうボードや紙製の合板などで構成されていたという。警察は天井材を支えていたワイヤなどが老朽化して切れた可能性も調べている。天井材が施工された時期とその後の維持管理状況を確認するとともに、業者や建物の関係者らに業務上過失傷害容疑を適用できるか検討する方針だ。
東亜日報「大邱の商業ビルで天井崩落~」より
調べてみると、「天井材を支えていたワイヤなどが老朽化」と書かれているが、おそらく理由はそういうことではないだろう。

これがその惨状らしい。天井が丸ごと落ちるケースも珍しいが、よく見ると不思議な光景になっている。お気づきだろうか?
参加者の一部は消防当局に「天井からネズミが走るような音がしたと思ったら、あっという間に崩れ落ちた」と話したとされる。
AFPより
被害者の証言から「天井からネズミが走るような音がした」ことが分かっている。それが本当かどうかは分からないが、「天井材は石こうボードや紙製の合板などで構成されていた」と書かれており、その様子が写真に写っている。
そして、法律上の定期安全点検の義務対象外のサイズだったことも問題だったようだね。定期安全点検がなされていなかったので、トラブルに気が付かなかったというわけだ。
軽量鉄骨とワイヤー吊り
まあ日本でもよく見る吊り天井構造ではあるんだけど、よく見るタイプの天井とはちょっと違うんだよね。
こんな感じ?

これが日本の施工例なんだけど、韓国のそれとはちょっと違うの事がわかっていただけるだろうか?
上階のコンクリートスラブや鉄骨(H形鋼・C形鋼など)に固定するタイプの支持金具(吊りボルト)が日本の施工例では確認できるのだが、ワイヤーでも吊っている様子がわかるだろうか。
韓国のそれとはピッチが全然違うのである。
それと、拡大するとわかるのだが……。

天井のボードが二重になっとる。
確かに、記事を読むと。こう書いてある。
現場では、ダクトと石こうボード、紙製合板などが重なった3層構造が確認された。
中央日報より
三層構造らしい。
違法改造
中央日報はその辺りもうちょっと詳しく書いてあって、どうやら築30年を超えた辺りの韓国の建物は結構ヤバいらしい。
警察は、こうした構造や増設された設備によって増加した荷重が崩落に影響を及ぼしたかどうかを調べている。事故原因はまだ明らかになっていない。
警察は現場で仕上げ材の破片などの証拠物を2箱分確保し、精密鑑定を進めている。結果は2週間後に出るとみられる。
中央日報より
つまり、定期点検がないからチェックされない上に、増設を繰り返されたことによって、吊り天井の重量が増えていたこと。
そして、ワイヤーがそもそも日本に比べて少ない。
日本の建築基準とは違うので、ワイヤーの密度が低いからと言って、違法であるとは思わないのだが、しかし、吊り天井構造でだんだん天井の重量が増えていったら、トラブルに繋がるよね。
消防当局や目撃者などによると、事故は10月10日午前10時16分ごろ発生し、建物2階の天井の仕上げ材が崩落した。会場にいた66人が自力で避難し、70代の高齢者ら36人が負傷、このうち9人が病院に搬送された。負傷者の大半は高齢者だったという。参加者の一部は消防当局に「天井からネズミが走るような音がしたと思ったら、あっという間に崩れ落ちた」と話したとされる。
AFPより
幸いなことに怪我人は出たが、大きな怪我ではなかったようだ。負傷者36人のうち9人が病院に搬送されてしまったようだけれど。
まとめ
老朽化物件が増えてきている韓国は、今後この手の話も増えていくのではないかと思う。
それにしても三重天井か。
重ね張りなんかしたら、天井裏のメンテナンスなども絶望的に難しくなるんだけど、そのあたりはどう考えているんだろうな。


コメント
もとその方面職でして。
旧ビーナスフォートの天井裏つくるに
半年、お台場に通うた事あるす。
んで、全ネジ少なくね?
この手の天井は、コンクリ天井にアンカーを撃ち込み、アンカー内がネジの
♀になってて、♂つまり長さ1m超えの全ネジを回し込む。
これで軽量鉄骨を吊るす。
んで、軽量鉄骨で出来た骨組みに、
石膏ボードをドリルインパクトでビス止めとか、
部位によっては鉄板ビスで止める。
その上に接着剤で顔面板を貼り付けて、エア圧オチキスみたいので
顔面板を固定する!
んでっすね、空調とか配管とか、ドレーンのメンテの為にキャットウオークを配置するすが、
まず、どんな建物も竣工直後より、
内部が複雑で重くなる!
そうならん建物を観たこと無い!
ある規模を越えると、設計者も一人で全てやるわけでなく分業す。
すると、どっかでバグ出るんすよ!
ビーナスフォートが顕著だったけど、
ツギハギの増築したドレーンや配管やタクトで、
這ったり登ったりしないと移動できず、工具が通らなかったり。
ひでえのはL字スピードレンチすら回すスペースが無くなっていて、
角にマイナスドライバー当てて、ハンマーで叩いて回すとかあったな。
いや、図面ど全然違うんすよ。
信じられないけど、広大な天井で位置ロストして、GPSで大まかな位置を探り、侵入口の点検口を見つけたり。
(屋内でGPS初めて使った)
実は平成以後の大型建築は、資材や人件費の変動が大きくて、途中で変なモデルチェンジとかするから、
天井にかかる重みが竣工時より数百キロ以上重くなる事が多い!
それを電気、配管、空調、水回りと、
それぞれの業者が勝手にやるし、
地所管理会社にはロクな建築系の人材がいないから、幾何級数的に天井が重くなるのをコントロールできない。
まぁ人災の一種なんですがね。
おー、経験者でしたか。
僕自身は天井裏に入ったくらいしか経験がありませんから、随分と浅い意見しか言えません。
が、それにしても韓国の事故現場は支えが少ないように見えるんですよね。
おそらくは人災でしょう。
軽量鉄骨も、かなり大雑把にしか敷いてない気がします。
施工が常に押していたバブル期すら、日本の鉄骨屋さんは、もう少し細かくやってた。
写真みると、軽量鉄骨が横線ばっかで、
下手くそなマンガのパースみたいですもんね。
これがあの国のスタンダードなのかなぁ?
食物は美味い国なのに。
シナなんかよりよっぽどね。
それが、まぁ建築となると……