狙われているな。
支那メーカーが、日本市場の最後の牙城とも言える「軽自動車市場」に相次いでエントリー。本気で切り込む構えを見せている。
中国の奇瑞やBYD、軽EVを日本市場に投入 ガソリン車並み価格
2026/5/27 13:57
中国自動車大手の奇瑞汽車(チェリー)やオートバックスセブンなどは27日、日本で軽自動車の電気自動車(EV)を売り出すと発表した。ガソリン車並みの価格で2027年春の発売を目指す。軽EVは中国・比亜迪(BYD)も投入を控え、激戦区になる。
日本経済新聞より
オートバックスセブンが一枚噛んだというのは厄介で、売れる可能性はある。あるけど、これも酷い話なんだよね。
EVの需要は拡大するのか?
日本の軽自動車業界に殴り込み
どうやら、この奇瑞汽車の軽自動車開発には、日産の元技術者が関与しているらしく、日本の自動車業界の混乱ぶりが分かるよ。
オートバックスと中国奇瑞 軽EV2027年に日本で販売へ 29年までに計4車種投入も
2026/5/27 21:22
中国自動車大手の奇瑞汽車(チェリー)や車用品大手オートバックスセブンなど日中の5社が出資する合弁会社「EMT(イーエムティー、横浜市)」は27日、2027年に日本で軽自動車の電気自動車(EV)を発売すると発表した。
産経新聞より
物珍しさに飛びつく人は一定数いるかもしれないが、買おうかと思っている方は一旦立ち止まった方が良いと思うよ。
日産の技術者を引き抜いてEVの開発に関わったチームを作り、日本用にカスタマイズした軽自動車を販売。なるほどねぇ、ソコにビジネスチャンスがあると読んだわけだ。
が、これってすごく危ない話に見える。どんな風に危ないのかは、先鞭をつけようとしているBYDの話をしながら、簡単に解説していこう。
BYDの作戦
過去に言及しているのだが、BYDは軽EVを日本で販売しようとしている。


日本の軽自動車業界で、EVとして成功しているのは、サクラとeKクロスくらいだろうか。
サクラとekクロスEVの違いは?内装外装や補助金を比較
2023.06.19
日産サクラと三菱ekクロスEVは2022年5月に日産と三菱の共同開発で生まれ、注目と人気を集めている軽EVです。
プラットフォームを共有しているサクラとekクロスEVの性能はほぼ同じですが、内装外装のデザインは大きく異なります。
レディバグより
過去にはそれなりに話題になった。
だが、人気だとされていたサクラやeKクロスEVは、一時は注目は集めたモノの、今は残念なことに売れていない。

ランキングを見ると、10位までに軽EVはランクインしていない。売れ行きを見ると、サクラ(375台)もeKクロスEV(36台)もランク外。
ずっとランキング1位で、4月は2位に後退してしまったホンダのN-BOXは、比較的高級路線。BYDの作るラッコはこれに取って代わる変わる計画なのかもしれないが、本当にそれで売れるのかは微妙だ。
普通車のランキングを見ても、中古車のランキングを見てもEVは売れていない(全体比4%未満)のが現実である。日本では、EV自体のニーズが薄いのだ。
この状況でBYDが売れる自信があるのがスゴイ。
コストダウン
BYDとしては、圧倒的なコストパフォーマンスで日本の市場に殴り込む積もりであり、特に軽EVはブルーオーシャン!と意気込むが、安かったら本当に買うのか?という疑問はある。
実はBYDは支那国内での売上げが低迷している。だが、BYDの工場で作っているモーターや二次電池の過剰生産問題を解消するために、安くても売れれば工場の問題は緩和される可能性がある。
ブレードバッテリーを採用する方針らしいので、まさにコストダウンのための一手としては優れた方法だろう。何しろ、EVの価格の1/3はバッテリーの価格なのだから。
独自「ブレードバッテリー」活用…BYDが軽EV公開、初の海外専用設計モデル
2025年10月31日
中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は29日、2026年夏に日本市場に投入予定の軽乗用EV「RACCO(ラッコ)」のプロトタイプを報道陣に公開した。同社初の海外専用設計モデルとなる。リン酸鉄リチウムイオン電池(LiB)を採用した独自の「ブレードバッテリー」を活用するなど、これまで培ったEVのノウハウを応用した。軽は日本独自の規格で新車販売台数の約4割を占めており、日本の軽市場での存在感をアピールしていく。
ニュースイッチより
この他、モーターもおそらくBYD社内で量産するタイプのモーターを流用して搭載するのだろうから、コストダウンには力が入っていると思う。だから、7月28日に販売予定で日本の市場にインパクトを与えそうではある。
ただ、実際にエントリーしているラッコのスペックを見ていくと、不安な要素が見え隠れする。
例えば、人気の高いハイトワゴン形状を選んで、両側スライドドアをチョイス。ブレードバッテリーを採用するので、更に重量増。1t以上の重量になるのは確実である。その重量を支えるために、15インチホイールを採用。ボディを軽自動車の規格に収めて内側の居住性を贅沢に取ろうとした結果、軽自動車規格のサスペンションを選ばざるを得ないので、重いバネ下荷重と重い床下がプアなサスで繋がる構造になる。
結構苦肉の策的な臭いを感じるチョイスで、乗り心地にダイレクトに効いてくる可能性が高い。加えて、バッテリーを車体構造の一部とする設計なので、構造を簡略化できる一方で、ブレードバッテリー自身にダメージが蓄積する構造である。
スタイリングなど注目を集める要素はあるが、長期で売れるとは思えない。悪評が広まって売れなくなるのでは。
ただでさえ、軽自動車の自主規制、64馬力を呪いを受け継ぐ予定なので、高回転はスカスカになるだろうし、スタイリング的にも高速域はキツイ。チョイノリだけでこの価格を出すのか?という勝負になるはずだ。
新EVブランド「EMTA」はコンパクト路線か
そんな感じで、BYDは苦戦するのでは?と読んでいるのだが、じゃあ冒頭のニュースでオートバックスが一枚噛む予定になっている軽EVは、どうなんだろうか?というと、これもあまり有望とは言い難い。
流石にハイトワゴン形状で勝負はしないようだが、そもそもまだスタイルやスペックも不明。
軽EVの仕様詳細は未確認だが、チェリーの中国市場向け小型モデル『QQアイスクリーム』のコンポーネントを一部流用する可能性も考えられる。QQアイスクリームはフロントに最高出力27psのモーターを搭載し、航続距離約160kmを謳う。
Auto Carより
BYDの商売を見ながら、戦略を決めていこうという姿勢のようである。
じゃあ、オートバックスセブンが何に関与するかと言えば、前述したように、恐らくはメンテナンスである。
日本のやり方だとディーラーを作って車を売る。メンテナンスもディーラーで!という商売となるのだが、これだと国内にディーラーを作るまで普及が見込めない。そこで、メンテナンスだけでも国内に広く店舗を持つオートバックスに任せるという構想なんだろうと思う。
だが、過去にはトヨタと組んだGMがトヨタディーラーでも販売やメンテナンスできるというスタイルで売り込もうとしたが、結果的には売れなかった。
ディーラーや整備の問題だけではないんだろうね。
トヨタはEV開発を先送り
さて、ココで衝撃のニュース。
トヨタ、レクサス次世代EV開発中止-市場減速や米国補助金廃止で
2026年5月29日 at 9:50 JST
トヨタ自動車は29日、2027年半ばに販売予定とされていた次世代のセダンタイプの電気自動車(EV)の開発を中止すると明らかにした。
Bloombergより

トヨタが次世代のセダンタイプEVの開発を中止したというニュースだ。アメリカの補助金廃止やセダンEV市場の低迷、全社的な開発プロジェクトの見直しなどを受け高級車ブランド「レクサス」の「LF-ZC」の開発中止を決めたという。
アメリカの商業的な成功が見込めないという判断なのだが、このニュースをみて「日本終わった!」とか左派が大喜びしていたのが印象的だった。
トヨタが常に正しいとは言わないが、コレに関してはポルシェの失敗もあったから、妥当なのでは。
ポルシェCEO、「ボクスター」と「ケイマン」のEV計画中止を検討
2026年2月3日 at 2:14 JST
ドイツの高級車メーカー、ポルシェは、野心的な電気自動車(EV)計画を進めた結果膨らんだコストを削減するために、スポーツカーのEV計画を棚上げすることを検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
Bloombergより
ユーザーの需要を見て、計画中止判断は妥当だったと思う。誰がEVポルシェが欲しいのか、と。
まとめ
最後のトヨタやポルシェの話は軽自動車の話とはちょっと違うのだが、話の核となる部分は似通っている。つまり、そこにニーズがあるかどうかという話だ。
安い軽EVの需要が日本にあるのか、ないのか。
日本市場の1/3が軽自動車である!コンパクトな自動車が求められている!とまあ、ソコまでは良いんだけど、BYDに関していえば、タイヤは15インチを採用して腰高なスタイル。それがコンパクトカーを求める層にアプローチするかというと、ちょっと怪しい。
じゃあ、奇瑞汽車はどうなんだろう?というと、コンセプトすら出ていないのでなんとも言えないが、BYDの売上げを横目で見ながら修正するんじゃないかな。でも、日産って軽自動車作ってないメーカーなんだ。EVでも派手に失敗していたしね。
軽自動車はコンパクトカーと殴り合うクラスなので、安いだけじゃ買ってもらえないし、少し使い勝手の良いモデルとなるとコンパクトカーに流れてしまう。中途半端なコンセプトでは転けるのは必至なんだよね。


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