韓国メディアを眺めていると、KOSPIが大きく盛り上がっていて嬉しいって内容が多い印象。
KOSPI最高値定着 機関買いで大型株主導
公開 2026.05.29. 16:23
KOSPI指数が終値ベースで再び過去最高値を更新した。米国発の地政学的リスクが和らぎ、国民年金の国内株式保有上限引き上げが追い風となり、強含みとなって8470台に定着した。
Chosun Bizより
先週は特にジェットコースター相場で、個人的には凄く楽しめたのだけれど、皆様はどうだっただろうか。
KOSPIは8,500時代へ
乗り越えた先には
ええと、5月26日にも似た論調の記事を書いているので、「またか」と思われる可能性もあるのだが、この時の予想では「27日または28日がどうなるのか」という事を言っていたね。

では、先週はどうだったのだろうか。

KOSPIは8,000を超えて、踊る踊る。ついには8,500直前で終了。
上場銘柄の82%が下落するという異常な状況の中、主要2銘柄だけが時価総額全体の過半数を占め牽引。
「ここを可決で乗り切れば更に上積みされる可能性がある。」としたけれど、可決したからね。え?何がって、そりゃサムスン電子の労働組合投票の話だ。
今回の相場を押し上げているイベントは2つ。1つはサムスン電子の労使問題、もう1つはNSP(国民年金基金)の国内株式比率の見直しの話である。これは前回の記事の通りである。
そのうちサムスン電子の方は、27日に決着した。
サムスン電子 暫定合意案可決も報酬格差めぐる対立拡大
Write: 2026-05-27 13:37:30
サムスン電子の労使によることしの賃金協約暫定合意案が、労働組合の投票で最終的に可決され、全面ストライキの危機は、ひとまず回避されましたが、半導体事業とスマートフォン・家電事業の間の報酬格差をめぐる対立は、むしろ広がっています。
サムスン電子の労働組合の共同交渉団が明らかにしたところによりますと、27日午前10時に締め切られた暫定合意案に賛成するかどうかの投票の結果、73.7%の賛成で可決されたということです。
投票には対象組合員およそ6万5000人のうち95.5%が参加しました。ただ、労組ごとの賛成率は大きく分かれました。
サムスン電子最大の労組で、半導体事業の社員比率が高い労組では80%以上が賛成したのに対して、スマートフォンや家電事業の社員を中心とする労組では、賛成は20%台にとどまりました。
KBS WORLDより
社内の軋轢を生みつつ、労働組合の投票で可決。
ここでストライキ続行が決定すれば、暴落リスクがあったんだけど、無事に可決されたのでそういう展開にはならなかった。良いことではないんだけどね。
国内株式比率の引き上げ
で、今回のイベントは、この労働組合投票ともう1つ何だったかと言うと、年金基金回りの話である。
国民年金 国内株式の目標比率引き上げ 大規模売却への懸念和らぐ
Write: 2026-05-29 11:13:04
最近の韓国株の上昇によって、国民年金基金が保有する国内株式の割合が目標値を大きく上回っています。市場では、大規模な売りにつながるのではないかという懸念が高まっていて、運用機関の国民年金公団は、国内株式の目標割合を14.9%から20.8%に引き上げることを決めました。
世界でも有数の機関投資家の国民年金公団は、韓国の代表的な公的年金である国民年金の基金を、国内外の株式や債券、代替投資なども投資して運用しています。
最近、半導体関連株の上昇などによって韓国の株式市場が値上がりし、国民年金基金が保有する国内株式の割合は、ことし2月末の時点で目標割合を上回る状態となっていました。
KBS WORLDより
これが何を意味するのか?
前回も少し解説を書いたが、年金基金(NPS)の役割というのは、基本的には「国民から預かった保険料を安全かつ効率的に増やし、将来の年金を確実に支給すること」なので、少子化が凄い勢いで進む韓国の年金資産を運用によって増やす必要がある。
なので、ジェットコースター相場の国内株式を保有するより、海外の安定資産を買ったほうが良く、バランスよく買うことが求められるのである。KOSPI高騰で、見かけ上は資産が増えているようには見えるんだけどね。
救援投手?!
なおNPSのもう1つの懸念についても、言及しておこう。
1480ウォン台守れ…「救援投手」の韓国国民年金、年末に為替相場防衛総力戦
2025.12.22 06:47
国民年金が今週大規模に為替ヘッジに出る見通しだ。為替相場の値動きが激しい年末を迎え国民年金が救援投手として登場したものだが、外国為替市場不安を鎮めるのは容易でないという診断が出ている。
中央日報より
これが去年末のニュースで、NPSが通貨防衛の「救援投手」に駆り出されたという内容。
実は、NPSは韓国銀行と外貨スワップ契約を結んでいて、以前から通貨防衛のバッファとして機能してはいたのだ。ウォン安が進むと経済に悪影響が出るということで、何としても対ドルで安くならないようにコントロールしたかった。
国民年金基金運用委員会は15日、今年末で終了予定だった韓国銀行との外貨スワップ契約を1年延長することにした。規模は650億ドルだ。韓国銀行は外貨スワップ拡大にともなう外貨準備高急減に備えるため先週過去初めて外貨預金超過支給準備金に利子を支給すると明らかにした。
中央日報「1480ウォン台守れ~」より
で、為替ヘッジ(為替変動リスクの回避)も始めちゃったと。
NPSとしては為替ヘッジに手を貸すことで、外国資産からのリターンを安定させるという目的を果たすことが出来るため、ウォン安を防衛する意味はあるんだけど、資産が無限にあるわけじゃない。
外国人投資家による売り圧力は年間100兆ウォンにも上るので、韓国最大の基金を保有しているとは言え、防衛しきれるはずもないのだ。
そもそも、ウォン安が進むタイミングでは外国株式を増やすべきで、国内株式を大量に買うのは寧ろ悪手。矛盾した話なんだよね。
通貨安を促進
この話のガッカリポイントとして、こんな分析がなされていた。
ロイター通信によると、NPSを監督する保健福祉省は国内株式の比率引き上げについて、海外投資に伴うウォン安圧力を抑制する狙いもあったとしている。NPSは近年、運用多様化の一環として海外資産への投資を拡大してきたが、大規模な外貨建て資産の購入はウォン売り要因となり、通貨安を促進する副作用が指摘されていた。
Financeより
ロイターの分析をFinanceが割と肯定的に捉えた記事なんだけど、ロイターは「ウォン安圧力を抑制」をNPSが行っていたことを認めた上で、NPSの海外投資によってウォン安を助長する結果を招いたと分析しているんだよね。
NPSが「適切な運用」として海外資産を買ったら、ウォンが安くなっちゃったという展開なんだけれど、国内株式を買えばそれが是正されるね、という。しかしそれは健全な運用とは言えないんだよね。
そういった実態を海外に晒されたことで、韓国市場の政治的リスク(ガバナンスの欠如)が大きいことが示されて、韓国売りが更に進む結果に。
金融資産所得税の議論再燃
こういった流れの中で、こんな議論が出てきている。
「稼いだ分だけ課税を」 コスピ8000台突破で金融投資所得税議論再燃
Posted May. 30, 2026 08:46
今年に入り韓国総合株価指数(KOSPI=コスピ)が連日最高値を更新し、8000台を突破したことで、導入前に廃止された金融投資所得税(金投税)の再導入の議論が主要議題として浮上する可能性があるとの見方が出ている。コスピが長らくボックス圏にとどまっていた当時とは状況が変わっただけに、課税の公平性の観点から検討が必要だという声だ。ただ、投資家の反発が強く、政治的にも敏感な問題であるため、政府や政治圏が軽々に手を付けるのは難しいとの見方もある。
東亜日報より
凄いこと言い出したな。
バリューアップ・プログラムとの整合はどうするんだ。
【韓国】企業価値向上(バリューアップ)2年で参加企業の時価総額が80%を突破 Kiwoom Securitiesなどが受賞
2026-05-28 02:35 (GMT+9)
韓国取引所は「企業価値向上(バリューアップ)」プログラムの施行2周年を記念し、Kiwoom SecuritiesやKorea Aerospace Industries(KAI)など10社を優秀企業として表彰した。制度導入から2年で、公示に参加した企業の時価総額は韓国市場全体の80%を超え、Korea Value-up IndexもKOSPIの上昇率を大きく上回る成果を上げている。これらにより、資本市場に「バリューアップ文化」が急速に定着しつつあるとの評価が高まっている。
financeより
本来は、韓国の企業体質を強化するための取り組みで、企業自ら配当を増やし、経営の透明性を高めて、投資家に選ばれるように機能させるハズだった。
ところが、サムスンのストを前提とした労使交渉の結果、株主への還元を阻む文化が醸成され、金融投資所得税の再導入によって市場を冷やす効果が生まれる。
先週の動きも外国人投資家は売り基調で、個人投資家は売ったり買ったり忙しかった。が、この状況をKOSPIが上がるように動き続けたのがNPSと機関投資家であった。つまり、このことも政治的リスクの高さを意味している。
まとめ
コスピ(KOSPI:Korea Composite Stock Price Index)とは、韓国取引所(KRX)のメイン市場に上場する全銘柄を対象とした、韓国を代表する代表的な株価指数のことである。
これを意図的に引き上げている実態を指摘してきたが、これが「政治的リスク」という側面を併せ持つことは、以前から指摘している話で、今週はその様相が一層色濃くなった。
そのゴールはどこなのか?6月3日の統一地方選挙の投票が影響するのだとすれば、来週の週明けはかなり危うい相場感になりそうだ。

週明け6月1日から選挙の6月3日の開票まで、そしてその後の展開と。来週もなかなか痺れる展開が待っている。




コメント
韓国人は情報統制によってIMFはもう助けない事を知らないようですが
政府要人はどうなのだろう?
IMFの実力的にも、韓国規模の市場がショートしてしまうと救済不能なんですよね。
AI投資はヤマ場を越えたという見方が市場(主にNASDAQ)に出てきました。
すでに米国はエネルギー”飽和”状態で、かなりの自治体や州が、大きな雇用を生むわけでもないAIデータセンターのために、莫大な電力供給負担を強いられることを拒絶していると。
またAIブームに乗った投資家たちが投資スケールに見合うリターンを要求しているとも。
基幹的なAI投資が一段落ということならば、韓国製メモリーの需要も萎んでいくでしょう。HBMのライバルもチラホラ出てきましたし。下半期のKOSPIはまた大揺れするかもしれません。
本日も荒れていましたね。
明日3日が注目ですね。
日本は台風直撃なんですが、韓国の株式市場も多分台風直撃です。ただ、取引市場はお休みらしいので、開けた4日の相場が「台風通過の惨状」になるかどうか。
こんにちは。
>上場銘柄の82%が下落するという異常な状況の中、主要2銘柄だけが時価総額全体の過半数を占め牽引。
これがどれほど危険で不健康で危機的状況なのか、なんて……
……説明しても聞かないし、そもそも「意味的文盲」の韓国では理解されないのでしょうね……
まあ、説明する気も助ける気も無いですが。
こんばんは。
82%が下落って恐ろしい数字ですよ。
主要2社が同じ業種というのも恐ろしい。